「デュオ 1/2のピアニスト」

映画『デュオ 1/2のピアニスト』公式サイト
https://www.flag-pictures.co.jp/duo-pianist/

今ある、残る、身体機能を最大限に生かすことで素晴らしい能力が開花する。

事故や病で
身体的機能に支障が出たり障害が出たりした人が
乗り越えて活躍する姿には感動する。
自身のアイデンティティーを見出したその姿に。

本作はピアニストとして共に将来を嘱望された双子の事実に基づく物語だ。
幼少のころから
父親のスパルタ教育でナンバーワンのピアニストになるべく育てられた二人。
音楽の難関校に入学しSoloピアニストとしての晴れやかな道を歩むかに。
ところが
突如と遺伝性の骨の病が襲う。
しかも遺伝性ということで二人ともに。
ピアニストの道は閉ざされた、かに思えた日々、暗澹たる日々を過ごす中で
今ある、出来る機能を駆使することで新たなピアニストとしての道に目覚める。
またそこには、双子という特別な(ラッキーな)状況があった。
本来、右左の両手で
思いの演奏をすることが不可になった二人には
双子の4本の手で、お互いにおぎあいながら演奏するという道があった。
もちろん、これには特有な奏法が必要とされ
更に何よりも4本の手が2本の手となるような同期、というか阿吽の呼吸が必要になる。
そう、双子の二人にはそれが可能だった。

本作の父親は何事もナンバーワンにこだわり
自分自身も(小さな世界での)一番にこだわっている人物。
因みに
僕はこういう、人と比べての順番や肩書にこだわることが嫌いだ。
本作が描く父親はまさにこういう種族。
自然、この物語に出てくるこの父親像には賛成できない。
が、
試練を乗り越えた双子の姿が
この肩書、比較論者だった父親の思考までも変えてしまった、良し!

で、
この作品を観てすぐに思いだしたのが
館野泉だ。
「左手のピアニスト」としとしてご存じの方も多いだろう。
舘野泉 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%98%E9%87%8E%E6%B3%89
ピアニストとして全盛期に脳溢血で倒れた彼は
右手の自由を失う。
ピアニストとして決定的なハンディーを負うが
ここでくじけなかった彼は
残った機能、能力、左手で演奏を。
それはそうとう困難な道のりだったが
「左手のピアニスト」として見事に世界に帰ってきた。
また彼の姿に感動した数多くの作曲者たちが
彼のために左手だけのピアノ曲を作ってくれたりも。
この話はドキュメンタリーなどでも紹介されている。

主演女優を務める
カミーユ・ラザとメラニー・ロベールは
演技はさることながら
このピアノ演奏シーンは「本当!!」と驚かされてします。
また
スタッフで特筆されるのは
プロデューサーのフィリップ・ルスレ
アカデミー賞作『コーダ あいのうた』(22)、『エール!』(14)、『ふたりのマエストロ』(23)などを手掛けた。
本作に続くのがうなずける。

2025年2月28日 公開

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