「波紋」
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監督:荻上直子の新たな境地
昨年の「極楽映画大賞受賞監督」(この表現、手前味噌かな?)。
荻上作品のファンを公言している僕、
そんな自分が
本作を見始めて最初は(?、なんかいつもと違う)と感じた。
荻上作品といえば、それはそれは魅力的な世界、、、で、
ほのかな空気、微笑み、エスプリ、時には少しびくっとさせられたりも、
心にしみ込むハートウォームな映画だ。
でも本作は違った。
そしてすぐに荻上直子は新たな境地に進出している、と感じた。
テーマはけっして僕の好きではないジャンルであったのだが、
が、監督の手にかかると自然に引き込まれされてしまう、さすがとしか言いようがない。
不治の病、新興宗教、老年、貧困、認知症、更年期障害、ゴミ、ペット問題、偏見、差別等々
現代の社会問題を多岐に取り上げ
しかも、それがどれも重い題材であるにもかかわらず
見る側を自然自然に引き込ませてしまう
映像作品、映画作品にする手腕に敬服。
各役者の演技のすばらしさは今更語ることは不要か・・・でも
主演の第三舞台出身の筒井真理子、助演の、名バイプレイヤーの光石研、仮面ライダーデビューから実力派へ磯村勇斗、
難聴障害を持ちながら障害を持つ人たちの希望になりたいと女優として大活躍する津田絵理奈、安藤玉恵、江口のりこ、平岩紙、木野花、キムラ緑子
そしてポイントで登場する柄本明、
そしてそして、公式資料のキャスト欄には記されていない、ムロツヨシ、荻上前作で名わき役を演じた彼がワンシーンだけ登場。
このシーンだけで(ああ、やっぱ荻上作品だ)と思わせてしまう味を披露。
「全員、実力派。全員、ヤバイ。」このコピーに嘘は無い!
特にこのような実力役者を起用する若手自称監督にはぜひ何回も見てほしいい!
この作品をどう終わらせるのだろう?と
推測とも予想とも不安ともつかない想いで見続けていくと
ラストはそう、「さすが!」
監督の本作へのコメントの最後にこうある
「私は、この国で女であるということが、息苦しくてたまらない。それでも、そんな現状をなんとかしようともがき、映画を作る。
たくさんのブラックユーモアを込めて。」
2023年5月26日 公開