「ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ」 3 極楽試写会/コラムンの犬 2024年4月12日 12:36 「ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ」公式サイト|5.3(金)よりROADSHOW !!https://www.zaziefilms.com/kurnaz/この事実を題材に取り上げた時点で十分かと思いきや・・・2001年、アメリカ同時多発テロ9・11の直後。ドイツのブレーメンに暮らすトルコ移民一家の長男が旅先で“タリバン”の嫌疑であの過酷なグアンタナモにある米軍基地の収容所に収監される。アメリカ本土ではない(キューバにあるアメリカ収容所)地区、長男はドイツに長期滞在だがいまだにトルコ国籍そして舞台はドイツ、裁判はアメリカと三重にも四重にも絡まった国際要素も事を複雑にする。しかし無実の息子を救うために奔走する母親。本作はこうした信じられないような事実と複雑さ、困難さをベースにした物語。ではあるが、なんと、それをコメディー仕立てで組み立てている。当に「ドイツのオカン」というべきふくよかなの母奔放というか型破りな明るい性格、食べることがすべての解決策とでもいう主義、しかも超甘いもの好き。こうした設定が時には現実の厳しさをやわらげ、時にその厳しさ過酷さを観る者により強く訴える。本作はこの事実を題材に取り上げた時点だけではなく、それをコメディーとして仕上げることで見事に勝負がついたと言える。戦争や迫害などのつらさをユーモアを交えて描いた有名な作品に「ライフ・イズ・ビューティフル」https://eiga.com/movie/50458/があるがもちろん、苦難の中身、コメディー仕立てなのかの違いはあるがどちらも苦しさの中に笑いを求めて描いている。そして本作は苦しさを笑い(ユーモア)で「和らげる」のとそれを笑い「飛ばす」のとの違いに気づかせてくれた。資料から監督を務めたのは、『グンダーマン 優しき裏切り者の歌』(18)などで知られるドイツの俊英アンドレアス・ドレーゼン。主役のオカンはコメディアン メルテム・カプタン。トルコ系ドイツ人でありアメリカでミュージカル俳優として活動したのち、ドイツで人気のコメディアンとして活躍。本作は、第72回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(主演俳優賞)受賞。さらにベルリン国際映画祭では銀熊賞(脚本賞)のW受賞も果たし、更に、ドイツで最も権威のあるドイツ映画賞では作品賞、主演女優賞、助演男優賞の3部門で受賞した。題材である2001年のテロそしてウクライナやパレスチナでの戦火を見る今かつてテロリストを排除するべく強行に出たアメリカの行動が改めてどうだったのか、考えさせられる作品でもある。2024年5月3日 公開 いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #映画 #ミセスクルナスvsジョージwブッシュ 3