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[アトピー性皮膚炎]治療歴と効果のあった治療方法の知見と体験談 2012年から

・2012年 分子生物学、基礎医学との出会い
https://kkviewer.themedia.jp/posts/2775545

この年に運良く会社から社費派遣する機会を得て東京医科歯科大学の小児科の研究室に1年間在籍し、その間大学院で学ばせていただき生理学、基礎医学、分子生物学を学びました。この間得た知識、経験は大変有意義で医師と対等に議論するための知識ベースを得ることができました。

さらにわかったことは医師にもアトピーに罹患している人がかなり多いということがわかりました。これはまだ解決されていない疾患の最たるものであり、過去に上から目線で治療方針を押し付けてきたこれまでの医師達がいかに個人の思いこみと他人事のような治療方針で診療にあたってきたかということの裏付けだと思いました。

もちろんアトピー性皮膚炎に罹患している医師たちは自分で投薬しコントロールはしているのでしょうが、悪化するときの対処法は無く、疲労のせいだということにして対処療法を続けているのが現状のようです。

医学知識と生物学実験で得た学識で私は早速アトピーに関する学術論文を網羅的に読み分析しました。ここ3年で急激に進歩した分子生物学の実験手法によって、アトピーに関する生物機序が徐々に明らかにされて来ています。

アトピー性皮膚炎の原因と言われる皮膚のバリア機能維持するフィラグリン遺伝子配列に変異が入っていることは最近の研究で明らかとなっています。フィラグリンたんぱく質に変異が入ることで細胞接着が弱くなり、皮下のタイトジャンクションへ容易に菌がすり抜けて感染してしまうという現象があります。遺伝子的原因そのものは改善できないので、対処療法ですがバリア機能を皮膚の保湿によって増強し傷口はステロイドで早く治すだけの治療法しか打つ手がなかったというのがこれまでのアトピー治療ガイドラインそのものでした。

しかし、従来のガイドラインの療法では初期に皮下に感染し潜伏している感染外敵に関しては全く手付かずで体内の免疫細胞頼みのところがありました。それも皮膚の上からステロイドを塗りたくるので免疫細胞は活動を弱め結果的に免疫細胞が攻撃しなくなる寛容化を招き慢性炎症のスパイラルにつながったのだとこれまでのアトピーの経験からこのような解釈に至りました。

他に私が読んだ論文の中で因果が明確になっためぼしい論文をご紹介しておきます。

・ http://drmtl.org/data/119020163j.pdf

:マラセチア属真菌とその関連皮膚疾患

・http://www.jsmm.org/common/jjmm46-3_147.pdf

 : rRNA遺伝子多型解析

・http://drmtl.org/data/119020163j.pdf

 :マラセチア関連疾患

・http://medical.radionikkei.jp/maruho_hifuka_pdf/maruho_hifuka-111110.pdf

 :酒さの発症メカニズムとその最新知見:自然免疫機構の皮膚疾患に与える影響

この中でマラセチア真菌についての記述と臨床での実験が大変興味深いものでした。 表在菌の一種であるマラセチア菌は毛庖炎などの原因として過去よりその存在は広く知られてきました。私も夏場にマラセチア毛庖炎と診断されニゾラール抗真菌塗り薬で治療した経験があります。この時の症状は薬で治ったというより塩水入浴でかなり治癒した記憶があります。塩水はマラセチア菌に限らず多くの真菌に有効ですが皮膚上の常在菌なため完全駆除は不可能です。

論文に戻りますが、このマラセチア菌の遺伝子型が一様ではなく健常者で8種類の遺伝子多型が存在すること実験で明らかになりました。一方、アトピー、脂漏性湿疹では遺伝子型が2種類しかなく、しかも数ではほとんど1種類が独占している状態が示されました。ここで酒さのメカニズムの論文ですが単一菌種になると自然免疫が過剰に反応するため常に赤ら顔になってしまうという機序が当てはまりそうです。よって、マラセチア菌の単一種のみの占有を少なくして遺伝子的多型の菌を数多く定着させれば自然と赤みも引いてかゆみも少なくなると考えられます。

アトピー性皮膚炎に影響を及ぼすであろうマラセチア菌を抑制する効果のあるニゾラール抗真菌薬をつかって治療実験を行いたいのですが、さすがに日本では処方箋なしで医薬品の購入ができないようになっています。

医師に相談してもアトピーの治療ガイドラインには該当せず処方できないとか症状が皮脂炎でないため処方できないとか、臨床実験が完了されておらずエビデンス(根拠効果)に乏しいとか言い訳されます。

挙句、遺伝子型の論文を引用し議論するとアトピーが専門ではないと言われ担当を代わりたらいまわしにされます。

これでは一向にアトピー性皮膚炎の治療技術の向上が望めません。患者は苦しみが続くばかりです。

この10年で大きな変化と言えばグローバル社会が浸透し海外の医薬品を個人輸入という方法で購入することがWeb上で簡単にできるようになりました。この偉大な社会的進歩を活用し、通販で海外からニゾラールのジェネリックに相当するニナゾールを含むシャンプーを購入しました。

早速、使用したのですが、使用初期は多少効果があるかな(?)程度、頭皮もフケが少なくなった(?)程度、体に至ってはほぼ変わらずということで失望していました。

しかも悪いことにニゾラール入りシャンプーは脂漏性皮脂炎の薬のため大量に地肌に触ると洗い流すときに界面活性剤が残存していたためなのか皮膚が化学やけどのようになってただれてしまいました。ここまで証拠固めしてトライしたのにここで諦めてしまえばそれまでなのです、引き下がるわけにもいかず苦し紛れに浴槽にシャンプー一回分をよく溶いて混ぜてみました。ニナゾール入りシャンプー希釈の浴槽に足だけ浸かる入浴を2日置きに3回試したころ劇的に皮膚の症状が改善してきました。

嘘っぽい、誇張しすぎと思われてしまうかもしれませんが皮膚の赤みが消えていき、5回目くらいから膝裏など思い返せば小学校からのじゅくじゅくの痒みが引いて行きました。

そうと分かれば全身ということで、浴槽に頭からつま先までどっぷりつかり長めの入浴を行いました。その結果、慢性的にあった皮膚の赤みはすっかり引いて黄色みがかった皮膚に戻り始めました。

ただ長年にわたる色素の沈着はそう簡単にはひきませんから黒ずんだシミが至る所に残っています。この療法を効果が確定できるまで続けていきます。

では、なぜ浴槽にニナゾールシャンプーを混ぜて入浴すると効果が出たのか?これはまだその機序がはっきりとはわかっていませんが、浴槽の温度によって酵素活性が高まるか阻害されるかで真菌の増殖能が抑制されると考えています。シャンプーを直に付けて洗ったときは泡だてはしますがニゾラールに十分な至適温度に達していなかった、もしくは洗い流してしまうときにしか温水がかからず、しかも流れ落ちてしまうので抗真菌能が発揮される前に皮膚上からなくなってしまうというので効果が薄かったのが原因ではないかと推測しています。十分に洗い流せずに濃度が高く残留しているとシャンプーの界面活性剤によるただれが弱くなった皮膚に刺激を与えてしまっていたのではないでしょうか。


ともかくニナゾールシャンプーを温水に混ぜて入浴すると自分にとっては36年間で劇的に効果があったことは事実です。

この入浴とボディーソープ「薬用レスキュー/関西酵素社製」を使用して皮膚の細菌、真菌をコントロールして治療に当たっています。(2013年冬)

効能機序が同じのためニナゾールシャンプーだけでなくコラージュフルフルなども効果がありました。(※後述)

もちろん併用して病院で処方される飲み薬、塗り薬も併用して使っています。処方薬だけでは当然根治しないのでこのような独自の療法を自分で試しています。

加筆ですが腸内細菌も重要なのは認識しています。(※後述)乳酸菌などを摂取する前に腸内をすっきりさせて悪性菌を排除して数を減らしています。下剤を飲んで皮膚症状が悪化してきたら定期的に排便して腸内排泄物をあらかた出し切って皮膚の状態を安定化させています。免疫細胞は一番腸内に多く存在しているのは事実ですし、腸内で炎症が発生して、免疫細胞がリクルートされてしまうと皮膚まで手が回らなくなるのが理由だと思います。腸壁で抗体産生し過ぎてそれが全身にまわって自然免疫が活性化しすぎるのかもしれません。詳細は解明されていないですが、排便は重要な要素だと思います。

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