アスレティック・ビルバオ｜サッカーのルーツ、属地主義を厳守し続ける孤高のクラブ
こちらの記事では、バスク州ビスカヤ県ビルバオを本拠地とするアスレティック・ビルバオについてまとめています。みなさんのラ・リーガ 観戦の助けになれば幸いです。
【地域】独自のルーツをもつバスク人＆現代アート・建築が並ぶ近代都市
地域名：ビルバオ
州：バスク州
県：ビスカヤ県
人口：34.6万人
※州＞県＞地域：バスク州＞ビスカヤ県＞ビルバオ
ビルバオは、かつて経済を支えた鉄鋼業、造船業で栄えた後、現在はバスクを代表する都市であり、近代芸術都市として世界的に知られている。33,000枚のチタンプレートからなるビルバオ グッゲンハイム美術館を中心に特異な建築や作品を味わえる世界的な現代アートの街である。また、美食の街としても名高く、1人あたりのミシュランの星の数が最も多い街として世界中から人が集まっている。下記の映像をみるといかにスペインにおいて特出した街であるかが伺える。
▼ビルバオの美しい街並みと文化▼
そして絶対におさえておきたいのはバスク人の分離独立思想である。古くからフランスとスペインに挟まれる地域に暮らし地理的な条件によってヨーロッパの他の集団から遺伝的孤立をするバスク人。独自のルーツと文化を持つ彼らはスペインの歴史上、政治的弾圧を受けてきた民族のひとつであり、彼らはスペイン人ではなくバスク人として高い誇りを持っている。事実、数十年にわたる分離独立闘争を行ってきた過去がある。そして、その中心がこのビルバオという街であり、受け継がれる独立思想はアスレティック・ビルバオというフットボールクラブによって顕在化している。
【概要】アスレティック・ビルバオ
名称：アスレティック・ビルバオ
愛称：ロス・レオネス
地域：バスク州ビスカヤ県ビルバオ
創設：1898年
クラブカラー：赤＆白
スタジアム：サン・マメス（Athletic Club de Bilbao）<53,332人>
最高成績 ：優勝（8回）
公式サイト：https://www.athletic-club.eus/
特徴１．バスク人のみで戦う純血主義（属地主義）
ビルバオはバスク人純血主義を貫く異質で孤高のクラブだ。世界中からスターが集まるラ・リーガにおいて、外国人どころか他のスペイン地域の選手もおらず100年以上もバスク人選手のみで構成されている。その事実は、このチームがバスク地方においてどれほど重要なチームかがうかがえる。彼らにとってこのクラブは誇りであり象徴なのだ。
ただ、ひとつ誤解が多いのが「純血主義」とは人種ではなく「生まれ」と「育ち」をさすこと。つまり厳密に言うと「属地主義」。『バスク地方出身』『親がバスク人』『ユース以下の育成年代でバスク 地方のクラブでのプレー経験がある』のいずれかの条件を満たした選手がクラブに入る権利を要する。そもそも「バスク人」というのは人種ではなく文化や言語を共有する「民族」を示すのでこの定義は正しいといえるかもしれない。
特徴２．レアル、バルサと並び、降格経験がない
リーグ創設以降、2降格の経験のないクラブは欧州5大リーグを見渡しても数少ない。ラ・リーガにおいてその誇りある実績をもつのはたったの３クラブ。レアル・マドリード、バルセロナ、そしてアスレティック・ビルバオである。2強に比べ予算規模も大幅に劣る上に、属地主義（バスク人のみ）の徹底。その環境下で90年以上も残留しているのは驚異的な結果と言える。加えて優勝は8回と、ラ・リーガで4番目（レアル・マドリード、バルセロナ、アトレティコ・マドリードに次いで）に多い。
特徴３．カンテラ（育成組織）への多額の予算配分
バスク出身者のみで選手を構成するビルバオにとって、要になるのが選手育成である。世界中からスターが集うラ・リーガの競合に対し、バスク地方の人材だけで戦いを挑むのだから当然といえば当然だろう。そのためカンテラ（育成組織）にかける予算配分は群を抜いて多く、13億円（2009/2010）とクラブ予算の1/6を占めている（参考：スペインサッカーの神髄）。
他のクラブに比べ、あまりにも大きな制約の中トップリーグで戦えているのは、こうした育成の土壌があってこそと言えるだろう。
おまけ．近代建築の街にふさわしい美しきスタジアム
1913年から2013年まで使用されていた旧エスタディオ・サン・マメスに代わり創設された新しい「サン・マメス」スタジアム。その外観は世界的な近代芸術都市にふさわしい存在感を持ち、クラブカラーの赤と白を基調にした風貌はまさにバスクの人々の象徴と化している。
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