「夢に手足を。」はじめてハッカソンに参加した僕のふりかえり
「ヒーローズリーグ」というハッカソンに参加してきました。
人生初のハッカソンで経験不足、かつコーディング初めて一ヶ月足らずなので実力不足感があったのですが、精一杯自分ができることをぶつけてきました。
結果は2位。しかも1位とは1票差でした。
ハッカソン後は悔しくて堪らなくて、サイゼリアのマグナムボトル(1500mlで1000円というやばいワイン)をガブ飲みするなどしていました。
当日は悔しくてやけ酒していたのですが、時間がたつにつれて学びの多い本当に良い経験だったなと感じるようになってきました。
ですので、当日僕がどんな戦略で取り組んだのか。他の参加者の作品を見て今後取り入れたい点をまとめます。
ハッカソンで作ったもの
『ブチギレアラート』
彼女がブチギレた時に、自宅のサイネージにアラートを表示。
ボタンを押して、怒りの対応までにかかった時間を計測し、ゲーム感覚で楽しめるようなプロダクトです。
当日の動き
終始バタバタしていましたが、以下のようなタイムスケジュールで動きました。
1日目:
・10:00~ アイデア発散
・12:00~ 企画の発表
・13:00~ 秋葉原でランチ
・14:00~ 秋葉原で機器の調達
・19:00~ 実装開始
・26:00~ 就寝
*エラーが乱発して全然プロダクトが動かない状態だがいったん終了。
2日目:
・10:00~ エラーの修正
・13:00~ プロダクトムービの撮影
・15:00~ ProtoPediaページの作成
・16:30~ 成果発表
・19:00~ サイゼでやけ酒
勝つためにとった戦略
経験・実力不足感が否めないのですが、かなり負けず嫌いな性格なので、
「参加するには優勝を狙おう」と参加前から硬く決意していました。
と、なると不足分をどこかで補っていく必要があります。
そのために、当日僕がどんな戦略で製作していたか振り返ります
アイデアのコンセプト設定
発表時間は5分だったので、多くの情報は伝えることができないと認識しました。
コンセプトを定義し、そこから一切ブレさず、伝える情報を取捨・磨き込む必要があるなと判断しました。
僕は新規企画を検討する際は、まずキャッチコピーを一言で書きます。そしてブレないようにずっと制作中それを眺め続けるようにしています。
今回、最初に書いたコピーはこんな感じ。
つまり、彼女の愛情(ポジティブ)と怒り(ネガティブ)が早急に判別つく、というのをプロダクトの提供価値にしていました。
その一方で、「遊び」に転換する。という与えられたお題を考えると、
・愛情(ポジティブ)→遊び(ポジティブ)
・怒り(ネガティブ)→遊び(ポジティブ)
が混在しており、愛情に関してはあまり価値が見えづらいなと思いました。
ので、愛情はバッサリと捨て、怒り(ネガティブ)→遊び(ポジティブ)の大きな差分を提供価値と定義し、コンセプトをシャープにしました。
「「怒り」を遊びへ」というコンセプトでFIXしました。
企画発表フェーズで前提を握る
どんなに良いプロダクトでも、評価ポイントがずれていたら正しく評価されません。
今回は「日常の業務を遊びに」がテーマだったので、
彼女の怒りを鎮火するのが「業務」であること
どうやったら「遊び」になるのか。「遊び」にする必要性があるのか
を全員とすり合わせる必要があると思いました。
ので、上記の2点にフォーカスして、納得できるような情報を取捨して発表しました。
企画発表フェーズで興味喚起しておく(ギャップを作る)
自分自身が、実装力が不足していると思っていたので、実装観点をどこかで補う必要があると感じていました。
ので、「わけのわからない企画立ててきたな」→「ちゃんとプロダクト実装されてるやん」の差分の大きさで実装力を補おうと考えました。
実装フェーズにうつる前に、ちゃんと風呂敷を広げて認知してもらう必要があります。しかもそれが「どんなプロダクトになるかわからん」というギャップを作っておく必要があります。
ということで、「まじで意味のわからんこと」を言おうと思いました笑
そんなこんなで、かなり戦略的に「ブチギレアラート」のアイデアを設定しました。
発表時間を、発表時間外で獲得する
全員が発表時間が5分と限られているので、その他の時間で自分のプロダクトへの視聴時間を獲得できたらかなりアドバンテージになるんじゃないかと思いました。
最後まで情報は包み隠して、カタルシスをデカくする
情報を制作途中から小出しして視聴時間を増やす
のどちらがいいんだろうな?と最初迷ったのですが、後者の方が良いと判断しました。
ハッカソンはハッシュタグをつけてTwitterで投稿すると、参加者や運営者が見てくれるので、制作途中のものをかなり細かく、なんなら全て公開していきました。
プロダクトムービーや完成デモに加えて、彼女の反応とか、最終的には発表に盛り込めなさそうなサイドストーリーもガンガン公開しました。
*結果をみると、意外と見てもらえていなかった印象なのでミスっていたかもしれない
プロダクトではなく、カスタマ体験をみせる
「企画の面白さ」「プロダクトのすごさ」はみんな同様にアピールすると思ったので、自分はプロダクトを通して「人間の体験を変化させる」ことまでできたことをアピールしようと思いました。
かつ、そのあたりをアピールすることで、見る側の共感が得られると思いました。
新規企画を提案する際、プロダクトの説明前に、カスタマージャーニを説明するようにしています。「こんないけてない体験が」→「こんな良い体験になるよ」という感じです。普段はPPTでイメージ図を書く程度なのですが、今回は実際に動くモノがあるので、実際のカスタマージャーニを動画で表現することに挑戦しました。
個人的にも普段のPPTの説明より圧倒的に伝わっている感があり、普段の仕事の提案でもチャレンジしていこうと思いました。
ユーザに使ってもらったFBも共有する
実際のユーザの感想ってとても重要な情報だと思っています。
ちゃんと彼女に使ってもらって、「なかなかええやん」「遊びになっとるな」という言質を得て提示しにいきました。
ふりかえり
素直な感想も。
「作る」って大事
僕、糸井重里の大好きなコピーがあります
ボディコピーもぜひ読んでみてください。
僕は夢想家なので、たくさん考えごとをします。こんなものがあったらいいなあ、がわりとたくさんある人間です。
けどそれって、ただのアイデアであって、何者にも影響を与える力がありません。
今回、僕が「これはおもろいなあ」とテンション上がったり、彼女に「いいじゃん」と言ってもらえたり、他人に「欲しい」と言ってもらえたのは、プロダクトを些細なものですがちゃんと制作されたからです。
当初は、ちっこいディスプレイとボタン一つで本当に面白いもの作れんのか?と懐疑的だったのですが、作り始めるとまじで面白くなってくる。彼女に使ってもらって反応を見ていると、もっと作りたいものが湧いてくる。
どんな些細なものでも、まず作ってみる。がスタートであり、成長の源泉なのだと痛感しました。
もっと「作れる」ようになりたい
めちゃくちゃハッカソンで勝ちたいだけの人間ぽい振り返りになっていますが、正直勝ち負けよりも、他人の技術やアイデアに高い熱量で触れられたのがもっとも価値があったと実感しています。
他人の発表を見ていると、「この技術俺も使ってみたいな」とか「このアイデアの発想マネしたいな」がたくさんありました。事実、それらを吸収して、もっと幅広くプロダクトを作っていけるようになるのだと思います。
今後、新しい技術やアイデアに触れるために、他人が作ったプロダクトにたくさん触れようと思いました。
ハッカソンで刺激を受けた作品たち
アイデア、技術面で、僕がめちゃくちゃ良いと思った・マネしたいとおもった作品たちをふりかえります。
アイデア:「モンスターファームっぽいものを作りたい」
モンスターファームって、そもそもが画期的なアイデアでした。
観点はたくさんありますが、一番の功績って「CDの新しい楽しみ方を作った」ことだと思っています。もっと分解すると①市場に新しいニーズを作り、②最終的にカスタマーの行動を変えたということです。
自分の好きなアーティストCDを所有したい→強いモンスターを生み出せるCDが欲しい
好きなアーティストCDだけ購入する→全然知らないジャンルのCDもディグル。友達と活発にCDを貸し借りする。
みたいな感じですね。その体験の中で、全く知らない曲に出会うみたいなこともあったんじゃないかなあと想像します。
のびすけさんのアイデアは、まずここに着眼しているのがすげーなと感じます。
次に、それをqiitaに展開できるのでは?という横への展開がすごく面白い。
その結果、プロトアウトスタジオの立場としてのWILLに落とし込まれているのがとても美しいなと感動しました。
プレゼンを聞いていて、のびすけさんのメッセージがブッ刺さったのでそのまま記述します。
個人的には、「苦手な技術にも触れる」というかなり生徒にとってハードルが高い行動を、むしろポジティブな行動に変容できているのがすごいなと思いました。
ネガティブな感情を持った人間を、ポジに変換させるのって、正攻法でやるとかなりのパワーが必要になります。それをモンスターファームの好事例を展開してアイデアの力でスルッとポジに変容した形です。
また、のびすけさんはよく「技術の食わず嫌いはやめようね」とおっしゃっているのですが、自分のWILLを実現するためのプロダクトとしてちゃんと完成しており素晴らしいなと感動しまくっていました。
技術①:「チーズ星人ごっこ」
Joy-Conってセンサー兼コントローラーとして使えるんだなあと驚きました。
僕もobnizを使って手の動きを検知できないかと思い、振動センサーや傾きセンサーを買って試してみたのですが、手の複雑な動きを認識するのはかなり難しいことがわかり挫折したことがあります。
Joy-Conの良いところは、複雑な動きを認識できることに加えて、ボタン操作もできるのでより複雑な制御ができること。そしてBluetoothを使ってワイヤレスにPCに接続できることです。
UnityでJoy-Conを認識しているとのことですが、どうやっているんだろうか。僕もぜひ試してみたいなと思います。
技術②:「Octoパス」
RFIDって小売りのDXをしてると無限に聞くワードになります。
商品の管理のイメージがめちゃくちゃ強かったのですが、RFIDを使って遊びの要素があるプロダクトを作れるのだなと驚きました。素直に僕も使ってみたい。
アイデア面に関しても秀逸でした。
確かに、スマートロックとかありますが、あくまで個人単位での入室管理になります。それを複数人集まらないと開かないという機能を追加すると遊びの要素が生まれるというのが良かった。
現実世界では、意外とそういうシステムってないよなあと思いつつ。ゼルダの伝説みたいなダンジョン謎解きゲームには必ずといっていいほど現れるギミックだよね、という乖離が個人的には面白かったです