価格とはあなたが支払うもので、価値とはあなたが受け取るもの
「賢明なる投資家」や「証券分析」の著者であるベンジャミン・グレアムが語った言葉です。そして後年、弟子である世界で最も有名な投資家ウォーレン・バフェットも手紙の中でバークシャー株主総会中に聴衆に読み上げています。
それとは逆に、投資家は近年益々株価を重視する傾向にあるように考えられます。もはや株価のみで判断されていると言ってて過言ではないかと思われます。
企業目線で考えてみましょう。株式会社である以上、会社は投資家のモノであると言えます。しかし、リターン順で言えば投資家は還元(リターン)の順番は最後です。それは貸借対照表で表れています。
もう少し深堀りして説明します。これは企業活動の中で利害において当然の流れであると言えます。ちなみに絶対に忘れてはいけないことがあります。それは、会社は株価とは別に、365日日々運営をしています。そこには様々な人の流れがあります。
例えば、製造業であれば仕入れがあり、工場があり、そこで働いている従業員がいます。そして、銀行などからの借入金があります。
まさにこの流れ通りの支払いが発生します。そして、出来上がった製品を売ればお金が入ります。
お金の流れを見てみると、まず買掛金を支払い、取引先(家主など)に支払い、給料を支払い、借り入れているお金を返して、経営者に報酬を支払います。余ったお金が剰余金となり、設備投資に回ります。その上で、支払う余裕があれば株主還元の配当金に繋がります。その前に税金支払いなど決算時期に備えた損失を計上することが考えられます。
先に投資家に配当金を出して、余ったお金で負債の返却に充てるなんてことはあり得ません。
その支出(販管費や負債など)を凌ぐほどの売上を上げてこそ、いわゆる価値の増大が株主の最大のリターンになるわけです。目の前にある価格は価値ではない、ということなのです。
会計を簡単に説明致しましたが、グレアムは何十年も前に投資家に対して本質を突いています。さらに追求すると正味流動資産と負債の関係であるネットネット株に行き当たるのですがそれはまたの機会に。
本当に心から尊敬すべき投資家です。