記憶というのは不思議なものだ
海へ出掛ける前、頭の中で過去と頭の中で勝手に作られた未来がグルグル回っていた
このグルグルは、幼い時から過ごして来た故郷の友人、失敗したこと、学校の教師、好きだった女の子、色んなものが想起されている
どうなっているんだろう?
という期待感と、不安のようなものがごちゃごちゃに混ざって、思い起こされる
電車に乗って、海へ行くだけなのに
家を1人で出て、何処かへ行くということが殆どない
家はゆりかごと監獄
ここにいれば、コワい思いをしなくて済む、守られた存在
子宮みたいに居心地だけはいいけれど、とても狭くて出来ることが限られたところ
殻を破って外に出ることに精神的な距離があるのだろう
過去が頭ん中を巡って、何処にもない想像上の未来がかってに作られる
本当のところはどうなんだろう
実態がわからない、事実を知らない
海で泳いだ
久しぶりに泳いだけれど、泳ぎ方は忘れていなかった
高校の時水泳部だった
ただ水に浮かんでいるだけで心地ちいい
泳ぐは好きだ
知らない浜茶屋のロッカーを300円で借りて着替えた
何処に住んでいるのか、誰なのかもわからない知り合ったばかりの浜茶屋を経営しているおばちゃんは「お兄さん」と私を呼んだ
おれは「お兄さん」にみえているのかと思った
今年で24になる
いい大人だ 金銭的にも精神的にも家から離れられていないけど
時刻は4時20分ごろだった
閉店するのが5時なので、30分ほど泳いだ
200円でシャワーを浴びた
タオルを持って来てなかったから、日の光と暑さで身体と水着を乾かした
母に迎えに来てもらった
仕事帰りのついでに拾ってもらう
1人で外に少し出掛けただけなのに母は嬉しそうにしていた
心配なのだ
ずっと部屋に引き籠っているのが
だからちょっと外に出ただけで喜ぶのだろう
凄いことなんてないのに
家から貰った金で出かけて、遊んだだけ
おれは自己嫌悪に陥って、ちゃんと稼いで、ちゃんとした大人になりたいと思った。
ただ生きていくだけのことが、私には難しく感じられる
我儘もここまで来ると、手の付けようがない
バア~と大勢で遊んだりすることもできず、部屋で籠って好きにしているだけ
時々1人で出掛けることをしよう
それは、いい動画になる
いい創作の材料になる
そういう思考を持つようになってしまった
動画を撮りたいというのと、本当に行ってみたいという気持ち
行動と思考と感情が一致して、自然な形で動画が撮れた時、いいものが出来たと思える
無理に撮ろうとしなくていい
自然な感じで、撮りたいものを撮る
肩の力を抜いて、期待せず、なんとなくがいい