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豊かさに出会う旅

「和歌山に旅にいかないか?」

友人の急なお誘いが今回のことの発端だ。

なんでも、和歌山県の移住促進プログラム「しごとくらし体験」への参加者を募集しているそうで(彼はその企画や運営に携わっている。)、食領域の面白枠で参加して欲しいとのこと。

スケジュールに目をやると、偶然空いている。
僕は二つ返事で参加を了承して、ワクワクしながら和歌山に向かうことに。

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このnoteは「和歌山しごとくらし体験」で僕が感じたことや考えたことをまとめた旅行記です。

和歌山しごとくらし体験とは

和歌山県への移住促進プログラム。

和歌山県内の会社や農家に滞在しながら、実際に現地の仕事や暮らしを楽しむ企画で、企画を通して和歌山への移住につながることも間々あるそうで、このプログラム自体3年くらい続いてるそう。

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ちなみに、冒頭の友人は、このプログラムの企画をお手伝いしています。

滞在先は、「かんじゃ山椒園」

僕は料理人なので、どこかへ赴くとなるとその土地の食材が気になる性分なのだけど、和歌山といえば「山椒」というくらい、和歌山県は山椒の一大産地だ。

和歌山県の山椒づくりは平安時代から続いているとも言われていて、歴史的背景から掘り下げていっても面白いのだけど、その話は今回は割愛する。
(高野山もほど近く、山椒と密教は深い関わりがある食材だったりする。)

今回の滞在先は「かんじゃ山椒園」

山椒という日本固有のスパイスを世界に広め立役者と言っても過言ではない、山椒界隈では有名な生産者だ。

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過疎化が進む有田川町の山村に佇む「かんじゃ山椒園」
使われなくなった田畑、人の手が入っていない山林は、どんどん荒れていく…。

そんな故郷の現状を、家業でもある山椒園を通じて、改善したい。
山村での豊かなくらし方や、その実践方法を山椒農家として発信していくことで、有田川に人を呼び戻したいと語るのは、かんじゃ山椒園の永岡冬樹さん。

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滞在期間中はあいにくの雨続きで、山椒園のしごとは手伝うことはできなかったけど、その代わりに永岡さんご夫婦といろいろなことを沢山お話して、お互いのことを知ることができた。

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山村でのくらしの豊かさを、

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そして美しさを知ることができた。

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Kado

雨続きで何もできない僕たちは、本当にいろんな話をした。

Kadoは、冬樹さんの奥さんが始めるカフェの名前だ。

かんじゃ山椒園は、和歌山県のほぼ中央に位置する有田川町にある。

町の中心に流れる有田川は町名にもなっているとおり、町のシンボルでもあり、観光資源でもあり、特に、有田川沿岸に佇む「あらぎ島」は絶景として有名。

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農林水産省の『日本の棚田百選』、地球環境関西フォーラムの『関西自然に親しむ風景100選』、和歌山県観光連盟の『和歌山県朝日夕陽百選』に選定されていて、休日にもなると多くの観光客で賑わうそうだ。

そんな観光客をターゲットにして、山椒ソフトクリームをメインコンテンツとした、「観光客向けのカフェ業態」を始めたいらしく、物件も決まってスケジュールも決まっているけど、単にカフェ業態を始めたいといだけではないようで、本人も何がしたいのか悩んでいるようだった。

雨のおかげで時間もあるし、そういうお悩み解決は僕の得意分野だし、その場でカウンセリングしていくことにした。

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結果、やりたいことはまとまって「観光客と地元民を繋ぐコミュニティスペース」という一面を併せ持つお店」という方向を導き出したんだけど、勢い余ってコンセプトまで提案してみた。

以下がそのとき即席で作ったコンセプトシートだ。

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で、なんやかんやあって、このコンセプトシートをもとにしたお店作りをプロデュースすることになった。

この記事を公開した2021年9月現在、友人のクリエイターを巻き込んでブランド作りの真っ最中かと思う。

(完成したら、記事を更新してお知らせします。乞うご期待。)

移住には、ワクワクが必要

「移住」と聞くと、「都会から地域に移り住む」もしくは「よりローカルな環境に移り住む」というようなイメージがある。

どちらにしても、「忙しない都会から離れて、自然が豊かな田舎で豊かに暮らす」ようなニュアンスの意味が込められていて、確かにそんな風なニーズはあるし、実際に「豊かな暮らし」に向かって移住を決める人も多いと思う。

今回のプログラムを通じて移住体験をしてみて、そういう自分本位の考え方で移住に至ると、それだけではうまくいかないこともあるだろうなと思えてきた。

「自分が何者で」
「何ができて」
「どのように関わりたくて」
「どう貢献できるのか」

少なくともこの4点セットくらいは、明確に持っていないと移住はうまくいかない気がする。そして、それが叶うことで、自分自身がワクワクできるかが何より大事だと思う。

僕の場合に置き換えると、以下のようになる。

「僕は食のクリエイティブディレクターで」
「店舗プロデュースやレシピ制作、商品開発ができて」
「お世話になった永岡夫妻の力になりたい」

料理人でもある僕にとって、生産者の、それも世界一とも言われる「かんじゃ山椒園」の力になれるなら、これほどワクワクすることはない。

たった3日間ではあったけど、明確にこれらを示せたから、信頼関係を築けたんだと思う。

実は僕、今年の春に山梨県の塩山という地域に第二の拠点を設けたくて、土地と建物を購入したんだけど、土地の広さは1600坪、建屋も3つあって、なかなかに改築も管理も大変…。

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それでも、僕には明確な思いと、ワクワクがあった。

自分のスキルを生かして、廃棄フルーツの加工所を設けて、塩山を盛り上げていきたいという明確な思いと、このプロジェクト自体へのワクワクがあったから、踏ん切りがついたし、地元のコミュニティーにも飛び込んでいけた。

縁もゆかりもない土地に移住するのだから、自ら縁やゆかりを作りに行くぐらいのスタンスで望まないといけないと思うのだけど、自分本位になりすぎると、ローカルなコミュニティーと摩擦を起こしてしまう。

でも、そこにワクワクがあれば、難しいことなんてなくなる。

自分のしたいことが、誰かのためになる。地域のためになる。ワクワクが循環してく。

そういう方程式が成り立つ移住こそ、本当の意味での「豊かな暮らし」が手に入るのだと思う。

豊かさは人それぞれだけど、お金や物質的ではないものこそ、本当の豊かさに繋がっている。

今回の旅を通じて、そう強く感じました。

【オンラインイベント開催のお知らせ】
2021年10月23日(土)13:00より、オンラインイベント「地域に根ざした生き方を求めて。いま、都会を離れてローカルな「しごとくらし体験」をする価値とは? co-presented by 和歌山しごと・暮らし体験」を開催いたします。

▼イベントページ
https://wakayama-work-experience.peatix.com/

▼和歌山しごと暮らし体験HP
https://www.wakayamagurashi.jp/category/work/experience
本noteは、和歌山しごと暮らし体験に寄せた体験記です。
※今回の体験は新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、緊急事態宣言発令期間外にPCR検査実施のもと、自治体の受け入れガイドラインに則って行いました。

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