【新聞社の仕事】新聞記事 訂正は出したくない
頭をよぎる、紙面の向こう側
新聞の左下や右下に「訂正」や「おわび」が小さく載っているのを見たことはあるでしょうか。ご存知の通り、記事や見出しなどに間違いがあったときに掲載されるものです。記事を書いた記者本人だけではなく、チェックする側、レイアウトする側にとっても、つらく悲しいことですが、なによりも、間違われた当事者にとってはたまったものではありません。
私も訂正を出したことがあります。新聞記事は政治や経済のことだけではなく、展覧会や市民活動など広い分野の内容を取材し、掲載します。後者の場合、普段は新聞に載る機会の少ない人たちが、掲載日を首を長くして待っていることも多いのです。
そんな中、人名を間違ってしまったり、問い合わせ先の電話番号を誤って載せてしまったりしました。記事に間違いがあると分かった瞬間、さまざまなことが頭をよぎります。
まず書かれた本人が誤りに気づくでしょう。新聞を見た家族や友人、会社の同僚、お隣さんが「間違ってる!」と思うでしょう。で、本人に「間違ってない!?」と指摘するかもしれません。掲載された人とつながりがある人ならいいのですが、そうでなければ、ほとんどの人はそれが正しいと思って記事を読み進めていくことになるでしょう。
訂正を出すことになったら…
会社によっても違うと思いますが、だいたいは、取材先に謝罪をした上で、訂正やおわびを出す旨を伝えます。その後、訂正やおわびの文面を考え、上司や編集幹部を通り、紙面化されることになります。社内的には、どうしてそのような間違いをしたのか、顛末書や始末書を書き、提出します。もちろん、上司や幹部からは強く指弾されることになります。そりゃそうです。
最近では主に地域面で、書き方を変えて同様の記事を掲載するケースもあります。訂正やおわびはだいたい、隅の方に小さく掲載されることが多く、目立たないので、取材先からそのように求められ、応じることが増えているようです。
訂正の原因とは
私も訂正を出しましたし、訂正やおわびが入った紙面のレイアウトに当たったこともあります。やはり、執筆本人でなくても嫌なものです。どうして訂正を出すに至ったのか、何がまずかったのか。失敗の原因を考え、次に生かすことは大事なことです。次回は架空の例を挙げて考えてみたいと思います。
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