若者は独身であることに満足しがち
人々が結婚しない傾向になっているのは,日本だけではありません。世界中で過去数十年間,婚姻率が低下する一方で,離婚率と単身世帯が増加傾向にあります。
独身者の満足
多くの欧米型の先進諸国は,恋愛関係や結婚が高く評価される一方で,独身はあまり好意的に見られないことが多いと言えます。社会の中でパートナーシップを重視する結果,独身者に対する差別やネガティブな固定観念が生まれることも増えていると考えられます。
実際に,独身者は幸福度が低いだろうというイメージで捉えられがちですし,実際に人生満足度の平均値が独身者は低めで,自分の恋愛状況に対する満足度も低い傾向があります。加えて,独身でいる期間が長くなるにつれて,独身生活への不満が高まる傾向も見られます。独身者はまた,独身であること自体がスティグマと捉えられる傾向もあり,偏見を持ってみられることも多いようです。
しかし,独身者がどの程度人生に満足しているのかは,時代変化や社会状況によって変わるようです。
現代社会では,地理的な流動性の高まりやソーシャルメディアの利用によって,未婚の同棲,離婚,長期化する独身生活など,さまざまな生活スタイルが受け入れられるようになっています。どのようなスタイルを許容するかは,世代による差もありそうです。
満足度
実際に,青年期,成人期,高齢期の独身者の満足度が,歴史的な経過とともにどのように変化しているのでしょうか。2008年から2021年までの期間に調査を行ったデータから,何が見出せるかを検討していきましょう。では,こちらの論文を見てみましょう(Today’s Adolescents Are More Satisfied With Being Single: Findings From a German Cohort-Sequential Study Among 14- to 40-Year-Olds)。
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