指の長さと身体の健康
これまでに何度もこの問題を扱ってきたのですが,今回も取り上げます。
自分のほうに手のひらを向けてみてください。人差し指と薬指に注目します。この2本の指の長さを比べてみましょう。ただし,指の根元が違うので注意してください。よくよく長さを見て,どちらの指の方が長いのか,どちらの指の方が短いのかを確認してみてください。
そして,薬指の長さに対する人差し指の長さを計算します。人差し指のことを2D,薬指のことを4Dといいます。その割り算や比率を計算します。
◎2D/4D=人差し指の長さ / 薬指の長さ
2D/4D
この比率のことを,2D/4D digit ratioといいます。
この指の長さの比率は,生まれる前に母胎内でさらされるテストステロンやエストロゲンという性ホルモンの量に関連すると言われています。早ければ妊娠第2期頃に影響を受け,生涯を通じて固定化されると言われます。
ただし,賛成派と反対派に別れていて,決着はついていないみたいなのですが……。
運動
2D/4Dが男性ホルモンと女性ホルモンという,身体的な側面に影響するホルモンの影響を受けるということから,運動に関連するのではないかと予想されます。
出生前のテストステロン量は,心血管系,筋骨格系,中枢神経系を含む多くの構造と機能に長期的に影響するのだとか。すると,体力や運動パフォーマンスの個人差に影響します。
握力
身体の強さとしてよく用いられる指標のひとつが,握力の強さです。握力は,身体的な強さ全体の指標をよく反映するそうです。そういえば,人間ドックの問診時に握力検査をされたことがありましたね……年齢からでしょうか。
ということは,2D/4Dも握力の個人差に関連するはずです。2D/4Dの値を計算すると,人差し指が短い方が男性ホルモンの暴露されたと考えられていますので,握力との関連を検討すると「マイナスの関連」が示されるはずです。では,実際には堂なのでしょうか。メタ分析で検討した研究がありますので,こちらの論文を見ていきましょう(The relationship between digit ratio (2D:4D) and muscular fitness: A systematic review and meta-analysis)。
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