どれくらいお金を払うとアンケートに答えてくれるのか
社会のなかでアンケートを実施する機会は多いのですが,回答率の低下は世界的な問題でもあるようです。世論調査でも回答率の低下は問題になってきていますし,健康調査や重要な社会的政策に反映されるような調査を行う場合には,さらに問題です。
単に回答率を高めるだけでなく,一部の人々だけが調査に回答するというのも,できれば避けたいところです。どうしたらうまく調査を行うことができるのでしょうか。
金銭的インセンティブ
心理学でも,謝礼を支払って調査を行うことが一般的になっています。特に日本では調査会社を介して,モニターに対して調査を行うことが多いのですが,回答する側からすると金銭やお店で使えるポイントなどをもらう代わりにアンケートに答えることになります。
これまでの研究でも,わずかな金額(1ドルとか)をもらうだけで,回答に大きな影響が生じることがわかっているそうです。しかし,結果は必ずしも一貫していないそうです。
今回紹介する研究では,イギリスで何段階かの金銭的なインセンティブが与えられた調査を大規模に実施して,郵送でのアンケートの返送率を検討しています。謝礼が多くなるとちゃんと返してくれるようになるのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(What impact do questionnaire length and monetary incentives have on mailed health psychology survey response?)。
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