サディストが釣り行為をする背景
インターネット上で攻撃的な言葉を使って面白半分に他者を攻撃し,炎上騒ぎを引き起こし,議論を混乱させ,集団を対立させることを試みたりする行為を「インターネット・トローリング」といいます。「釣り行為」と呼ばれるものです。
性格とネット荒らし
インターネット・トローリングのような迷惑行為は,インターネット荒らし行為とも呼ばれます。
パーソナリティ(性格)特性は,ネット荒らしとの関連がよく研究されています。サイコパシー,サディズム,抑うつ,自己嫌悪,衝動性,自虐的ユーモアなど,どちらかというとネガティブなパーソナリティ特性はネット荒らしに関連することが報告されています。
サディズム
さまざまにあるパーソナリティ特性でも,サディズムは特に重要だと考えられるもののひとつです。サディズムは,他者の苦痛を楽しむ傾向のことを指します。また,マキャベリアニズム,ナルシシズム,サイコパシーとともにダーク・テトラドという4つ組みで研究も行われています。
ダーク・テトラドの研究では,4つのなかでサディズムだけがインターネット荒らしを予測するという研究結果も報告されているそうです。サディズムが高い人物の残酷な欲求を,インターネット荒らしがうまく満たす傾向があるからだと考えられています。
とはいえ,その因果関係や詳細なプロセスはわからないままになっています。
理由
サディズムとインターネット荒らしとの間の関連について,どのような条件下で関連が生じやすいのか,サディズムとインターネット荒らしとの関連の背後にある要因は何なのか,そもそもどのくらいの関連が生じるのかなど,詳細な検討が必要です。
そこで,これらの関連について検討した研究を見ていきましょう。こちらの研究です(Why does sadism troll? The role of negative emotional reactions from others)。
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