
社会の側が変化する可能性
同じことをしていても,その評価が変わるということがあり得ます。
そういった現象で思い浮かびやすいもののひとつが,喫煙です。
平成30年間の喫煙率の変化をグラフに表すと,下のようになります。太い折れ線は男女の平均です。平成元年には男性喫煙率は50%を越えていたのですが,現在は30%を割り込むまでになっています。男性の70歳以上の喫煙率も低くなっていますね。年を取ってから禁煙する人が増えてきたことが想像されます。
未成年の喫煙経験率
未成年の喫煙についても情報があるのですが,1990年代には高校生男子の喫煙経験率は50%を越えていたのです。2014年で12%くらいですから,今の感覚からすると「そんなに多かったの?」と不思議に思ってしまうのではないでしょうか。
私は1980年代後半に高校生でしたので,周りで喫煙をしている姿はそれほど珍しいものではありませんでした。当時はSNSもありませんし,携帯電話もデジカメもありませんので,吸っている姿を撮影されて拡散されることもなかったわけです。
きっと,今なら大変だろうなと想像されるわけですが……。
同じ行動をしていても
そういう社会の変化が,同じ行動をしていても評価が変わってしまうことの一例だと思います。
30年前の高校生が喫煙をしていることと,今の高校生が喫煙をしていること,同じことをしているのに,ずいぶん違う評価になるものです。当時の高校生がいまの世の中で同じ行動をしていると,ネットで大炎上している……そんなことがたくさんありそうなのです。
監視のし合い
当時と今とで大きく違うのは,お互いの監視の強化です。スマホとSNSによって,明らかにその傾向は強まりました。
そのため,私が若い頃と比べても,全体的な行動が抑制的で,「バカなことをしないでおこう」と考える人々が増えていることでしょう。それは良いことなのかどうなのか,よくわかりません。でも,明らかに無茶な行動は減っていると思います。
個性も同じ
同じようなことは,それぞれの人がもつ個性についても言えると思うのです。
ある個性を持っている人が,以前なら問題にならなかったのに,時代を経て問題視されるような現象です。中には,大きく問題視されるようになることで治療の対象になる,そんなことがあるかもしれません。
世の中の変化は実感しづらいだけに,注意して見る必要がありそうです。
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