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家族関係と生活満足度の関係の国際比較

割引あり

どこかに所属したいという欲求は,人間の基本的な動機の一つだと考えられています。恋愛関係,家族関係,友人関係など,満足のいく社会的関係を営むことは,幸福やウェルビーイングにとって重要なポイントになります。また,この関係は,多くの国において共通して観察されることもであると考えられます。


家族関係

家族関係は,重要であるように思えますが重視されていない側面もあります。成長すれば家族関係よりも友人関係や恋愛関係の方が重要なのでは?と思うことも普通だからです。しかし,家族関係の良好さは,幸福やウェルビーイングに関係する要因になることも明らかです。

家族と安心できる関係を築くことができている人は,安心感や肯定的な自己感覚が強く,より肯定的な人間関係を営む傾向が期待されることが報告されています。また,良好な家族関係は,困難な時期に社会的支援を供給する重要な源になります。

文化差

加えて,家族関係が幸福やウェルビーイングに関係する程度は,国や文化によっても異なる可能性があります。

ヨーロッパ全域を対象とした先行研究では,個人主義的な文化よりも集団主義的な文化の方が,家族との相互作用と孤独感との間により強いマイナスの関連が見られることが報告されています。しかし一方で,母子関係の質については,個人主義的な社会の方が,肯定的な自己評価との関連が見られるという結果も報告されています。

ひとつの問題は,文化間の比較を試みた研究は,限られた国や地域との間の比較しか行っていないという点です。より広い多くの国々で行われた調査を分析すると,どのような傾向が見られるのでしょうか。

50ヵ国で行われた調査からこの点を検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(The Role of Cultural Heterogeneity in Strengthening the Link Between Family Relationships and Life Satisfaction in 50 Societies)。

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