音楽をレポートに引用するときはどう書けばいいのか?
レポートや論文を執筆するとき,どんなものであっても引用できるものは引用するという姿勢で書いていくことが大切です。引用せずに文章を書いてしまうと「剽窃」(パクリ)とされかねません。
間接引用の多用
ふだん色々な文章を書いているときに,直接引用よりも間接引用を多用していることに気づきます。多いときには,段落の中のすべての文章1つ1つに,引用文献がつけられるときもあります。
論文を読んでいくと,このような書き方がされていることに気づくのではないでしょうか。しっかり引用しながら文章を書くことができるのもひとつのスキルと言えますね。
歌を引用する
学部のゼミ生が,歌や音楽を題材に論文を書いたことがあります。よく聴く音楽のリストを作ってもらって,そのリストを見るだけで本人の性格がどれくらい推測できるのかを研究した内容でした。
その論文を書いているときにも,「論文の中に曲を引用したら,どう書いたらいいのだろう」ということが話題になったように思います。正しい引用の仕方というのはあるのでしょうか。
アメリカ心理学会の論文執筆マニュアル(APAスタイル)を題材にしたブログの中に,その答えとなる記事を見つけました。こちらの記事です(How to cite a single song or track reference)。
引用の形式
文献を引用するために必要な要素には,どのようなものがあるでしょうか。論文であれば
◎著者名
◎刊行年
◎論文タイトル
◎掲載雑誌名
◎巻号
という情報が文献リストに示されます。音楽の場合もこれと同じようにしていくのですが,「誰を著者とするか」で悩んでしまいますよね。曲を作った人なのか,演奏する人なのか……
アーティスト名
まずは,著者名に相当するのは,アーティスト名になります。個人でもグループでも,その曲をレコーディングしたアーティスト名です。アーティスト名が姓・名となっている場合,性+イニシャル+ピリオドにします。たとえばシンガーソングライターのSam Smithの場合であれば,「Smith, S.」と書きます。
アーティスト名がひとつの名前になっている場合,グループ名の場合,分離できない場合には,作品に示されているままに書くそうです。
◎ビヨンセであれば「Beyonce」とそのままになります。
◎バンド名のフランツ・フェルディナンドは,姓名に分割できるわけではありませんので,「Franz Ferdinand」とそのまま書きます。
◎レディー・ガガは姓名ではありませんので,そのまま「Lady Gaga」と書きます。
◎BTSは防弾少年団(Bangtan Sonyeondan)からきているそうなのですが,そのまま「BTS」と記載します。
◎クラシックの曲であれば,作曲名を書く。
いや,こう書いてくると,色々なパターンがあることに改めて気づきます。
フィーチャーリング
よく,「○○ feat. ××」と書かれたクレジットの曲がありますよね。「feature ××」というのは「××を特集する」「××を客演させる」「××を主役にする」「××を特徴づける」といった意味があります。
たとえばザ・チェーンスモーカーズ(The Chainsmokers)の『Closer
(featuring Halsey)』という曲には「(featuring Halsey)」というクレジットが書かれています。こういう場合には,引用文献リストの作者目の後ろに,(featuring Halsey)をつけて記載します。なお,本文中の引用部分にはつける必要はないそうです。
音楽であることを宣言
文献と同じように,音楽の発表年も同じように記載します。
作品のタイトルを発表年の後ろに書き,音楽作品の種類を角括弧に囲んで記載します。
◎Closer [Song].
といったかたちで。さらに,曲の後に収録されているアルバムのタイトルを「On」に続いてイタリック体で書きます。雑誌の中の記事を書く要領です。加えて,音楽レーベル名を記載します。
たとえば,ColdplayとBTSの曲『My Universe』の場合は,次のような巻末の引用文献リストの形式になります。
本文中では,Coldplay and BTS (2021)やこんな感じに間接引用します (Coldplay & BTS, 2021)。
アルバムがない場合
曲がアルバムに収録されているとは限りません。BTSのButter (featuring Megan Thee Stallion)の場合には,次のような文献リストの引用の形式になります。
本文中では,シンプルにBTS (2021)や (BTS, 2021)となります。
なお,カバー曲や複数バージョンの曲がある場合,もとの情報を引用しなければいけないのか?と疑問に思うのではないでしょうか。しかしここでは,自分が聴いて引用しようと思った曲そのものを引用すればよいそうです。原曲の日付やアーティストを添える必要はありません。
クラシック曲の場合
クラシック曲のような場合には,ここまでの話とは少し異なるそうです。クラシック音楽の場合,括弧書きで作品が最初に出版された年を記載し,その前に "Original work published" と書いて原典を示します。原曲の出版年と再録音された年の両方を引用文献に記載し,出版年が早い方を先に記載してスラッシュ(/)で区切ります。
以下の例を参考にしましょう。
ただし,クラシック曲のような場合には,本や論文,雑誌などで多くの記事を見つけることができるのではないでしょうか。曲をそのまま引用するのではなく,過去に書かれたものを引用するというのも,混乱を避ける一つの方法であるように思います。それは,他の曲でも同じですね。
レポートや論文を書く際の参考になれば幸いです。
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