高齢者の孤独に関連する多くの要因
何歳から高齢者なのかという議論はさまざまにあって,国によっても機関によっても,高齢者の定義は異なります。世界保健機関(WHO)では65歳以上を高齢者と定義していますが,国連では60歳以上を高齢者としていたり。日本ではおおよそ65歳以上を高齢者とすることが多いようですが,法令によって違っていて70歳以上を高齢者とすることもあるようです。
孤独
高齢期において問題となるひとつの現象が,孤独です。高齢になるにつれて,退職,親しい友人や家族の喪失,身体的な制約などの要因によって,社会とのつながりが希薄になることがあります。周囲の人々の喪失は,心身両面の健康に悪影響を及ぼしかねない,孤独感の高まりや社会的孤立につながる可能性があります。
孤独感は,脳の炎症反応,睡眠の質の低下,身体活動の現象などを通じて,心身の健康に著しい悪影響を及ぼす可能性があります。また,免疫力の低下,心血管疾患や神経変性疾患のリスク増加,そこから医療費の増加や社会的な負担の増加にもつながる可能性があります。
孤立と孤独
一時的な孤独感よりも慢性的かつ持続的な孤独感は,継続的かつ困難な感情状態を表します。孤独感というのは,社会的なつながりについて理想と現実との間に乖離が生じており,苦痛を抱くことを意味します。
慢性的な孤独感については,現実の対人関係が営まれていたとしても苦痛を抱き,孤独感を感じることがあります。しかし慢性的な社会的孤立となると,実際の対人的な活動に参加していない現状を反映する可能性が高くなります。
孤独感と社会的孤立の間には,相関係数で0.4程度の関連があります。両者過半前に一致するわけではなく,部分的に別の側面を表現しています。
関連
社会的孤立と孤独感について,それぞれに関連する要因を幅広く検討するためにメタ分析を行った研究があります。関連する要因を検討することで,両者の共通点と相違点が明確になるかもしれません。
では,こちらの論文を見てみましょう(Chronic loneliness and chronic social isolation among older adults. A systematic review, meta-analysis and meta-regression)。
ここから先は
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?