広いユーモアのスタイルを把握していく試み

割引あり

ユーモアには大きな個人差があります。それぞれの人は,何を面白いと思うのか,どのように人を面白いと思わせるのかなどについて,ずいぶん違いがあって,ときに分かり合えないような場合や,勘違いが誤解を生みだすような場面もあったりします。


タイプ

これまでにも,「親和的ユーモア」「自己高揚的ユーモア」「攻撃的ユーモア」「自虐的ユーモア」という4分類でユーモアを捉えようとする研究が知られています。日本語でも尺度が作成されているはず。

もっと細かく分類する尺度も作られているのですよね。しかし,どこまで細かくするのかについては,議論の余地がありそうです。

レベル

ユーモアの分類は,より具体的なものからより抽象的なものまで,レベルがあります。具体的すぎると細かくなりすぎますし,抽象的すぎると大雑把になりすぎます。この塩梅が難しいところなのですが……。

今回紹介する研究では,古くから分類されている「楽しさ(fun)」「ユーモア(humor)」 「ナンセンス(nonsense)」「ウィット(wit)」「アイロニー(irony)」「風刺(satire)」「サーカズム(sarcasm)」「シニシズム(cynicism)」という8つのスタイルの測定を試みます。同じような攻撃的なユーモアでも,「アイロニー(irony)」「風刺(satire)」「サーカズム(sarcasm)」「シニシズム(cynicism)」では,微妙にニュアンスが異なります。全体的に明るいユーモアと,暗いユーモアに分けることもできますね。

これらは,(1)意図・目標,(2)対象,(3)主体としてのエージェントの態度,(4)他者に対する振る舞い,(5)理想的な聴衆,(6)方法,(7)言語的特殊性という観点から分類されたものなのだそうです。

では,尺度構成の様子を見てみましょう。こちらの論文です(Broadening Humor: Comic Styles Differentially Tap into Temperament, Character, and Ability)。

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