見出し画像

ダークな人の認知能力

認知機能強化(cognitive enhancement)という概念があります。これは,人間の認知能力を自発的に向上させることです。

日本でも認知機能強化を謳うサービスが展開してきているようですが,どちらかというと「トレーニング」ですよね。日本以外でも,認知機能強化への関心が高まり,その方法としては「食べる」「飲む」です。つまり,薬や食べ物で認知機能強化を試みる動きがあるそうです。こうなると,この概念が拡大することを懸念するケースも増えてきているようです。


認知機能強化

認知機能強化は,おおきく2つのサブカテゴリに分かれるそうです。

◎非薬理学的認知機能強化(NPCE):合法または非合法の薬物に頼らない,さまざまな方法
◎薬理学的認知機能強化(PCE):認知能力を向上させる目的で合法または非合法の薬物を使用すること

非薬理学的認知機能強化には,お茶やコーヒーの摂取,健康的な食事,栄養補助食品の摂取なども含まれます。

薬理学的認知機能強化

薬理学的認知機能強化を好んで使う人々が,問題になっているそうです。大学生のなかでも,薬理学的認知機能強化を試みる人が増加しているとか。もちろん,薬を使用した認知機能強化は,身体にも悪影響を与えそうです。

ドラッグについて調査をしている機関によると,15ヵ国のデータから,薬理学的認知機能強化の使用は2015年から2017年にかけて,いくつかの国で何倍にも増加する傾向が見られたそうです。

態度

認知的強化に対する人々の態度を正面から取り扱って調査をした研究は,あまり見かけません。非薬理学的認知機能強化は自分の認知能力を保護するための正当な手段だと考えられているのに対し,薬理学的認知機能強化はネガティブな評価が伴います。薬理学的認知機能強化には反対する人も少なくありません。健康上のリスクを伴うと考えられていたり,青少年や児童が使用することに反対する人々も多くいます。

認知機能強化に対する態度は,パーソナリティ特性に関連するのでしょうか。マキャベリアニズム,サイコパシー,ナルシシズムのようなダークなパーソナリティは,認知機能強化への態度に関連するのでしょうか。ダーク・トライアドの高さは,薬物使用や非倫理的な選択,手抜きなどに関連することが報告されています。

お手軽に認知機能を強化しようとすることへの態度に,なんとなく関連しそうです。では,こちらの論文を見てみましょう(The Dark Triad of personality and attitudes toward cognitive enhancement)。

ここから先は

793字

¥ 100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?