不安が反映する身体反応は何か
不安というのは,将来の不確実な出来事や脅威に対する恐れや懸念に基づいて生じる,心理的・生理的な反応です。まだ何も生じていない段階から,なんとなく不安を抱いてしまうこともあります。
ある意味で,不安を感じるというのは,脅威を敏感に察知して,備えや対策をとろうとする注意喚起の機能を持ちます。
子ども
児童期や思春期,青年期は,身体的にも認知的にも社会的にも,変化が大きい時期です。若者たちは不安を抱きやすいと考えられ,軽度の不安から重篤な不安まで,さまざまな不安を経験します。
軽度な不安であれば対処することも簡単ですが,重篤な不安になると学業や社会的な問題,精神衛生上の問題にもつながると考えられます。
不安症
不安は起こり得るかもしれないネガティブな出来事に対する予期,恐怖,心配によって特徴づけられます。不安が過剰で持続しており,日常生活の機能障害を引き起こすようになると,不安症や不安障害と呼ばれるようになります。
不安症は,児童期や青年期でもよく見られる精神的な問題で,15%から20%が不安症の基準を満たし,13歳から18歳の若者では3割を超えるという推計まであります。不安症は男性に比べて女性の方が高いことが一貫して報告されていますが,この中には次のようなサブタイプが含まれています。
◎パニック障害:恐れを抱く対象や状況に対する強い恐怖
◎特定の恐怖症:特定の対象や状況に対する圧倒的で非合理的な恐怖
◎全般性不安:日常生活の出来事や活動に対する強く抑えきれない不安
◎社会不安:社会的状況で他者から否定的に評価されることへの過剰な恐怖
◎分離不安:親や保護者など愛する人との別れに対する極度の不安
人生のそれぞれの時期において,これらのサブタイプが表れる傾向も見られます。分離不安や特定の恐怖症は若い時期から見られ,パニック障害などは成人期でよく見られます。
生理反応
不安は通常,質問紙形式の心理尺度で測定されますが,生理的な反応にも反映するとされます。しかし実際に,どれくらいの関連があるのでしょうか。
メタ分析で不安の程度と各種の生理的な反応との間の関連を検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Physiological correlates of anxiety in childhood and adolescence: A systematic review and meta-analysis)。
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