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能力が不十分だと自覚するときナルシシストは

自己愛(ナルシシズム)には,誇大な側面と脆弱な側面があることが知られています。

◎誇大な自己愛:自己評価が高く,特別な人間だと感じ,周囲にも特別扱いを期待する
◎脆弱な自己愛:自己評価の高さが崩れてしまうのではないか,他者から否定されるのではないかと気にする

そして,誇大な自己愛の中にも複数のパターンがあることも知られています。とある研究で用いられているのが,次のような枠組みです。

◎自己愛的賞賛:注目や賞賛を受けたいという欲求,自分を周囲に宣伝する傾向,自分の能力やスキルを過大評価する傾向
◎自己愛的対立:他の人を軽視し,他の人の失敗を喜び,他の人に攻撃的な傾向

この両者は,相関係数が0.50くらいという高い関連を示すのですが,誇大な自己愛は「自分は凄いだろう」というタイプと「他の人は大したことがない」というタイプに分かれるということです。

どんな時に関連するのか

賞賛を中心とする自己愛の側面と,対立(対抗,競争)の側面は,どのようなときに強くなったり弱くなったりするのでしょうか。

ひとつのポイントは,自分自身に脅威がおよぶときです。自己評価が脅かされるような状況下では,自分の能力を宣伝することが十分に効果を持たずに,他者をおとしめようとするかもしれません。

このような観点から,知能に関する自分自身の認識が両者の関連を変えていくという可能性が考えられます。また,実際の知能の高さも同じような機能を持つ可能性があります。知能が低かったり,知能が低いと自己認識することは,「能力が高い」という自己愛的な人物の自己評価の高さを脅威にさらす可能性があるからです。

では,実際にどのような関係が見られるのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Intelligent grandiose narcissists are less likely to exhibit narcissistic rivalry)。

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