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殺人犯たちはダークな性格をしているのか

非道徳的で反社会的な行動に結びつく可能性のあるパーソナリティ特性というのは,21世紀になって広く注目されていて,数多くの研究が行われてきました。

ダーク・トライアドやダーク・テトラッドはそのひとつです。他者を自分の利益のために利用するマキャベリアニズム,冷淡で倫理観が欠如したサイコパシー,自分が素晴らしく他者にも特別扱いを求めるナルシシズム,そして他者の痛みを見て快感情を抱くサディズムです。

一方で,HEXACOモデルも注目を集めています。これはビッグ・ファイブ・パーソナリティにH因子(正直さ-謙虚さ)を加えた,パーソナリティ全体のモデルで,特にこのH因子の低さがダークな特性に近い意味を持ちます。

犯罪との関連

ダークなパーソナリティ特性と犯罪との関連も,さまざなな形で報告されており,特にサイコパシー特性が犯罪に関連する特性として研究されています。

◎暴力および非暴力犯罪の件数
◎薬物乱用
◎警察との接触や刑事裁判を受ける回数

といったものに関連することも報告されています。

ところが,一見関連ありそうなのに実は結果が一貫しないケース,というものもあります。たとえば殺人犯罪者のサイコパシー得点が必ずしも高いわけではないという問題です。

そこでこの点について,本当にどうなるのかを確認している研究を紹介したいと思います。今回はセルビア共和国で行われた研究です。

では,こちらの論文を見てみましょう(How dark is the personality of murderers? Psychopathy, Machiavellianism, and sadism in homicide offenders)。

方法

調査は,セルビアで一番大きな刑務所である,スレムスカ・ミトロヴィツァ刑務所とポジャレヴァツのザベーラ刑務所で行われました。馴染みがない土地なので検索してみると,なかなか美しい土地が広がっていて一度訪れてみたいと思いました。

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