
妬みはダークな行動を引き起こす可能性がある
妬みというのは敵対的な感情で,妬む側にも妬まれる側にもネガティブな結果をもたらす可能性の高い感情です。人を妬むことは,人を疑うことを助長し,協力関係を壊し,ほかの人の失敗をカバーしないなど,さまざまな問題を生みだす可能性があります。
良性妬み
しかし妬みの中には,個人の進歩を促すような良性の妬みがあることも研究の中で明らかになっています。
ほかの人を妬んでうらやましく思い,自分と比べてネガティブな感情を抱いてしまうときに,「その相手を引きずり下ろしてやろう」とか「失敗すればいいのに」という考え方につながることもあれば,「あの人に近づこう」という感覚へとつながることもあります。良性妬みというのは,個人の地位を高めることで競争相手との地位の差を小さくしようと動機づけられることです。ターゲットとなる相手に対するポジティブな感情を伴って,自分自身のパフォーマンスを向上させようとします。
一方で悪性の妬みは,ターゲットとなる相手の立場を損なうことで地位の差を埋めようと動機づけられます。相手に対してネガティブな感情を抱いたり,相手のパフォーマンスをおとしめるような言動をしたりすることへとつながります。
ダークな行動
妬みは,ダークなパーソナリティが示すような行動につながる可能性があると考えられます。
相手のよいところを盗んで自分に採り入れようとすることも,相手を攻撃することも,間接的におとしいれようとすることも,悪評を長そうとすることも,さまざまな行動は妬みの中で生じる可能性があります。
特に,成功するためなら手段を選ばないというマキャベリアニズム的行動と,衝動的で無責任な言動をするサイコパシー的な行動は,どちらも妬みのなかで生じやすい行動ではないでしょうか。マキャベリアニズム的な行動の中には,自分を伸ばす側面と相手を貶める側面の両方が含まれており,サイコパシー的な行動は相手を貶める行動が中心となります。
では実際に,これらの行動は妬みと関連するのでしょうか。両者の関連を検討した研究を見てみましょう(Elucidating the Dark Side of Envy: Distinctive Links of Benign and Malicious Envy With Dark Personalities)。
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