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回答の仕方によって生活満足度は変わるのか

割引あり

アンケートに回答する場合,右側が「そう思う」となるバージョンと,左側が「そう思う」となるバージョンの両方があります。

あなたは幸福ですか? 1 2 3 4 5
あなたは幸福ですか? 5 4 3 2 1

これらで,得点に変化は生じるのでしょうか?


単一項目

通常,心理的な傾向を測定する尺度には,複数の質問項目が含まれています。しかし,社会調査や疫学調査,また心理学の調査においても,ひとつだけの質問項目で測定する単一項目尺度が用いられることがあります。

個人の主観的幸福感やウェルビーイングを測定する時にも,よくたったひとつのあるいは非常に少ない質問項目だけで測定する尺度が用いられます。

単一項目の場合,ますます,左から右に向かって肯定していくのか,左に向かって肯定していくのかによって,もしも結果が変わるようであれば大きな問題につながっていきます。

順序効果

回答の選択肢の順番の効果は,どのように生じるのでしょうか。何件法を用いるのか,何項目の尺度で効果が生じるのか,質問項目の内容など,条件が多くなかなか検討が難しい面もあります。

肯定的な選択肢から並べるか,否定的な選択肢から並べるかという問題だけでなく。横に並べるのか縦に並べるのかという問題もあります。最近,ネット調査の画面を設定すると,パソコンでは横方向に選択肢が並ぶのに対し,スマホ画面では縦方向に並びます。

パソコンだと右から並べるか左から並べるかという問題になるのですが,スマホだと上から並べるか下から並べるかという問題になるというわけです。他にも,プルダウンメニュー形式の選択肢の場合もあります。これらの形式によって,並べることの効果は違うものになりそうです。

効果の検証

そこで,生活満足度を1項目で尋ねる尺度を使って,回答の選択肢の並べ方の違いを検討した研究結果を確認してみましょう。どのような効果が生じたのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(The Impact of Answer Scale Orientation on the Measurement of Life Satisfaction)。

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