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ポジティブな経験をすると楽観性の発達は進むのか
未来に起こることについてポジティブな結果を期待する一般的な傾向のことを,楽観性(optimism)と言います。これは,一種の性格(パーソナリティ)のような心理特性として捉えられています。
楽観的な人はそうではない人に比べると,心身の健康度が高く,より長寿となる傾向もあり,ポジティブな社会的関係を築き,物事に対する優れた対処能力をもつとされています。
楽観性の発達変化
これまでにいくつかの研究で,楽観性が生涯にわたってどのように変化していくのかが検討されています。なお,ここでの検討内容は,楽観性の平均値がどのように年齢とともに変わっていくのかを検討するものです。
ひとつの研究では,アフリカ系アメリカ人を中心とした中年期の成人サンプルによって検討されています。9年間の縦断的な調査のなかで,楽観性は次第に上昇することが報告されているそうです。
もうひとつの研究は,50歳から97歳までのアメリカでの大規模サンプルで検討したものです。この結果によると,楽観性は51歳から70歳まで上昇し,その後は低下するという曲線的な変化を示すことが報告されています。
ライフイベント
ふたごを対象とする行動遺伝学の研究によると,楽観性の個人差の分散に対する遺伝による説明率は約25%で,残りの75%は環境要因で説明されるそうです。多くのパーソナリティ特性の研究では,だいたい40%から50%くらいが遺伝で説明されるという研究結果が多いように思いますので,楽観性の遺伝率は思った以上に低いという印象です,
とはいえ,人生のなかのどのようなライフイベントが楽観性を高めるのかということについては,よくわかっていないことも多いという状況です。ただしある研究によると,楽観的なパートナーと結婚をした人は,その後に楽観的になりやすいという報告もあるようです。
発達とイベント
そこで,生活のなかで経験するイベントがポジティブであるのかネガティブであるのかというイベントの評価に注目して,楽観性との関連を検討した研究について見ていきたいと思います。アメリカ合衆国におけるヒスパニック(メキシコ系)の人びと1000名以上を対象として調査が行われた研究です。こちらの論文を見てみましょう(Optimism Development Across Adulthood and Associations With Positive and Negative Life Events)。
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