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親から子への影響か子から親への影響か
子育ての研究では,長年にわたって問題になっていることがあります。それは「影響の方向性」です。どちらがどちらの方向に,より影響を与えるのか,です。
これは,心理学全般について言える大きな問題かもしれません。
親から子か子から親か
事件や事故の報道の中で,必ず出てくるのが「どんな親に育てられたのか」「どんな家庭で育ったのか」というテーマです。ここには,「親や家庭から子どもに影響する」という信念が隠れています。
しかし,子どもを何人か育ててみるとわかるのですが,親は子どもからも大きく影響を受けています。手のかかる子どもであれば親はそれに沿って対応しますし,てがかからない子どもであればそれなりに対応します。ある視点から見ればそれは当然だと思うのですが,「親から子へ」という一方向の影響が想定されている場面も多そうです。
相互的
そもそも,片方向だけの影響を想定すること自体が,おかしな話です。実際には複雑な相互作用が想定されるはずです。
さらには,家庭や子どもによって違いも生じるはずなのです。
◎ある家族では相互的な影響によって特徴づけられる
◎ある家族では親の影響によって大きく左右される
◎ある家族では思春期特有の影響によって大きく左右される
◎相互の影響はほとんど見られない
などなど,家庭による違いも大きいかもしれないのです。
追跡調査
相互の影響関係を詳しく見て行くには,長期間にわたるデータの収集が不可欠です。今回紹介する研究では,オランダ人家族を100日間追跡調査し,親の認識や思春期の子どもたちの幸福感などが調査されています。
ここでの焦点は,家庭によってどのような因果関係のパターンが生じてくるかです。どのような結果が得られているのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(The direction of effects between parenting and adolescent affective well-being in everyday life is family specific)。
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