ネットミーム
こういう逸話をご存じでしょうか。
スティーブ・ジョブズがiPodの試作機を手にしたときの話です。
ジョブズと水槽
ジョブズはその試作機を手にもって,あれこれといじくり回したあげく,「まだ大きすぎる。もっと小さくしろ」といいました。エンジニアは食い下がり,「この大きさまでたどり着くのに何度も作り直したので,これ以上小さくすることはできません」と主張します。
すると,ジョブズは試作機を持って立ち上がり,部屋に設置されていた水槽のもとに歩み寄ります。そして試作機を水に沈めると,機体からぶくぶくと泡が立ちのぼります。
「泡が出るということは,まだ隙間があるということだろう。あの泡の分だけ,もっと小さくしろ」
という逸話です。これまでにもいろいろなところで目にしたことがあります。もっとも,目にしたのがネットだったのか,本だったのか,何だったのかはもう覚えていないのですが。
フリー
ちなみに,私たちが毎日,ほとんど無料で音楽を聴くことができるようになっている背景については,少し昔の本ですがこちらの本が面白かった記憶があります。『フリー ―<無料>からお金を生みだす新戦略』です。
ここでも活躍したのが,今やほとんど誰ももっていないであろうiPodです(iPhoneに代わってしまいました)。
本当の話なのか
さて,私自身も「スティーブ・ジョブズの逸話だ」と思っていた,iPodと水槽の話なのですが,実はこの逸話はスティーブ・ジョブズの話ではないそうなのです……。
【追記】ジョブズがiPodを水没させる逸話はウソである、フェイクだっていいじゃない
実は,ソニーがウォークマンを開発するときの盛田昭夫氏の逸話だったのではないか,という話が書かれています。しかしさらに,実際にはハンディカムの開発時の話なのではないか,しかも「水に入れたらどうなる」という話をしただけで,実際に水に入れたわけではなかったということのようです。しかもこの逸話が知られていたからか,CMに採用されて広まった,と。
いやはや,ネットの中で広がるミーム(meme)は,形を変えて生き残っていくものです。
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