朝型の学生は成績が良い?
大学生時代,ほとんど午前中の授業に出席しない学生がいたものです。
最近は真面目な大学生が増えましたし,ちゃんとある程度のGPA(大学の成績)をとることが,その後の進路にも就職にも関係してくるということもあって,多くの学生が真面目に授業に参加しています。
もちろん,昔のような朝起きられない学生たちもいるでしょうけれども……
学業成績
大学の学業成績は,何で決まってくるのでしょうか。
昔から研究されている要因として真っ先に挙げられるのが,知能(IQ)です。一般的に,知能検査の結果と学業成績との間の相関係数は,研究にもよりますが0.5程度あるいはそれ以上と高く,安定した関連を示しています。
しかし,この関連は,学年やどのような学校に通っているかでずいぶん異なってきます。大学やカレッジレベルの高等教育機関になると,知能とGPAとの関連は低下してきます。
ビッグ・ファイブ・パーソナリティの中でも,勤勉性(誠実性)は,一貫して学業成績を予測することが報告されてきています。高校段階でも大学段階でも,勤勉性が高い生徒や学生の方が,そうではない生徒や学生たちよりも,全体的に成績がよいことが示されています。勤勉性の中には,自己制御,持続性,高い意欲,目標達成,努力などの要素がふくまれていますので,これらが成績によい影響を及ぼすと考えられます。
朝型か夜型か
日常的な生活のスタイルのひとつとして,クロノタイプはよく知られています。クロノタイプは,いわゆる朝型か夜型かを表す概念で,鳥のヒバリとフクロウによくたとえられます。
一般的に,夜型であることと楽章成績との間にはマイナスの関連があり,朝型であることと学業成績との間にはプラスの関連があることが研究で示されています。学校の時間割は朝から始まるのに対して,夜型の人は朝型よりも1日のスケジュールを遅く始める傾向にあることから,体内時計と社会的な時計との間にギャップが生じやすいことが考えられます。結果的に,睡眠の質が悪くなったり,認知能力の低下や学業成績の低下が生じるとも考えられます。
クロノタイプ
クロノタイプ自身,勤勉性や知能と関連することも報告されています。朝型の人は夜型の人よりも勤勉性が高い傾向があります。このことが,クロノタイプと学業成績との間の関連の原因である可能性もあります。
一方で,クロノタイプと知能の関連は単純なものではなさそうです。朝型よりも夜型の人の方が認知能力が高いという研究もありますし,逆に朝型の人の方が認知能力が高いという結果を報告する研究もあるようです。もしかしたら,彼らのサイクルに適した環境で生活することができたのであれば,よいパフォーマンスを残すことが可能なのかもしれません。
では,クロノタイプと大学の学業成績との間の関連は,どのようになるのでしょうか。ポーランドのワルシャワ大学で行われた研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Chronotype predicts university students' expected and actual grades above conscientiousness and intelligence)。
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