
フィンランドのセックスワーカーたちの生活の質
セックス・ワークは人類の歴史を通じても伝統的な職業のひとつであり,金銭,経済的利益,即時的な欲求の充足と引き換えに,性を売ることだと定義されます。しかし,セックス・ワーカーは,世界中でもっとも疎外の対象となり,偏見を抱かれている職業でもあります。
変化
路上に出たり,お店の中で働く性労働者が伝統的な姿ではありますが,近年ではインターネットと携帯デバイスの発展によって,オンラインで宣伝が行われてサービスに結びつくケースが非常に多くなっています。これは世界的な傾向であり,実際の性的な行為を伴わない,メディアを介したサービスも提供されています。
今回の論文は,フィンランドで行われた研究の報告です。フィンランドでは,5000人から6000人のセックス・ワーカーがいると推定されているそうです。その大部分(90%)は女性で,69%は移民であり,90%は屋内で働いていると推定されています。ただしこれらは少し古いデータで,大部分のセックス・ワーカーは,とうけいてきにもなかなか補足されないところにいると考えられています。
生活の質
当たり前のことなのですが,セックス・ワーカーも人間であり,市民であり,幸福な生活を追求する権利があります。しかし,セックス・ワーカーたちの生活の質や幸福感に関する研究は,これまでにわずかしか行われていないそうです。
インドの研究では,セックス・ワーカーの生活の質は総じて「悪い」と結論づけられているそうです。スペインの研究では,セックス・ワーカーたちには孤独感,暴力,薬物使用などの問題がよく見られ,これらが生活の質を低下させていると報告されているそうです。ブラジルの研究では,セックス・ワーカーたちの半数以上が,精神疾患の釣行を報告していたそうです。オランダの研究では,セックス・ワーカーのうつ病の得点は,臨床的なカットオフ値に近く,抑うつ傾向が見られています。中国の研究では,飲酒との関連が危険視されています。イランの研究では,薬物使用が生活の質を低下させていると報告されています。
フィンランド
フォンランドでは,性行為の提供と購入は合法だそうです。しかし,法律や規制によって,生産業は規制されています。たとえば,公共の場での提供は違法ですし,サービス提供者や受け手が未成年である場合は,性的人身売買の被害者である場合は違法となります。外国人が性的サービスを販売しているという疑うに足る理由がある場合には,国外退去処分となる可能性もあるそうです。
フィンランドでは性産業も職業の自由の対象となります。職業的自由とは,仕事や職業的アイデンティティに基づいて職業選択を行うことです。職業選択の自由が保障されていることは,生活の質の高さにも関連します。
ではフィンランドの研究から,どのようなことがわかったのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Sex workers' professional agency, quality of life, and problematic substance use in Finland)。
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