
無意識の世界から意識の世界へ
私たちが意識できる範囲というのはごく限られたもので,普段の生活の大半は意識せずに行う行動で占められています。
とはいえ,無意識なのですからそのこと自体にも気付くことは少なく,大半のことは意識して行なっていると思っていますし,覚えているものだと思っていますし,自分の行動はちゃんと意識的にコントロールできていると感じています。
自動車の運転
意識せずに行うことの例のひとつは,自動車の運転ではないでしょうか。あの大きな鉄の塊を,一つひとつの行動を意識することなく行って,目的地までたどり着くことができます。
音楽を聴いて大声で歌いながらでも間違いなく到着することができますし,助手席に乗っている人と喋りながらでも到着することができます。そして,自分がどんな運転をしたのか,ほとんど覚えていません。
あらためて考えてみると,なかなかすごいことをしているものです。
ゲームやスポーツ
ビデオゲームをやり込んでいる人にも,同じようなことは起きますよね。いちいち考えている間もなく,自動的に手指が動くのではないでしょうか。
これはスポーツも同じです。むしろ,意識的に考え始めるとうまくいかなくなってしまう,ということすら起きるようです。何も考えずに体を動かした方がうまくいくということも。
考えて考えなくなる
でも,最初から何も考えないままに体の動きが身につくわけでもありません。
自動車の運転も,初めの頃は「ここでブレーキを踏んで」「ここで方向指示器を出して」なんて,意識しながら運転していたはずです。
日本で運転している人がアメリカで運転するという時にも,最初は意識が必要です。私もアメリカで運転する時には「Keep right.」(右車線を走れ)と呪文のように唱えながら乗っていました。
それがいつのまにか,何も考えずに運転できるようになります。そうすると,むしろ「思考が邪魔」という状態になるのは面白いところです。
たまに意識する
これは特に証拠があるわけではなく,何となく感じるだけなのですが,たまには意識して行動することも必要なのかもしれないなと思います。そうすることで,少し生活に張りが出ると言いますか。
自動車の運転のように,放っておくと日常のいろいろなことが意識せず自動的に進んでいくようになりますので,たまに意識しなければいけないような状況に身を置いてみるということです。
アメリカから日本に帰ってきて自動車に乗ったとき,今度は「Keep left.」と呟きながら自動車に乗っていました。たまにはそういう体験をしてみるのが良いのかもしれません
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