起業家精神に関連する性格
起業家精神(アントレプレナーシップ)は,新しいビジネスやプロジェクトを立ち上げて発展させることを指します。ビジネスチャンスを特定してうまく活用し,実際のビジネスにつなげていくことです。近年では,アントレプレナーシップを心理学的な個人差変数として扱って,他の変数との関連を検討する研究も多くなっています。
好奇心
アントレプレナーシップは,ビジネスがありそうなところに気づくことが重要です。その点で,知的好奇心と関連がありそうに思えます。
好奇心は,新しい経験や知識を得たいと思う欲求のことです。好奇心の高さは,新しいことを学んだり試したりする動機をもたらし,人生の多くの領域で人間の行動の原動力になると思われます。
21世紀に入ってから,好奇心の研究はどんどん増える傾向にあります。2016年から2021年にかけて論文の数が3倍に増えているとか。
好奇心に関する研究では,好奇心の高さが対人関係の改善や学業成績の向上など,生活の中で多くのよい効果をもたらすことも報告されています。また,好奇心は職業場面で重視される特性でもあります。職務遂行能力やリーダーシップ,創造的な取り組みなど,仕事の上でも価値があると考えられています。
起業と好奇心
知的好奇心と起業家になることは,関連するのでしょうか。パッと考えると関連がありそうに思うのですが,実際にはどのような関連になるのでしょうか。
そもそも「好奇心」といっても,いろいろな好奇心があります。視覚か聴覚や触覚などに対する感覚への好奇心は感覚的好奇心といいます。それに対して,学習や探索行動を行う動機となる,新しい情報に対する欲求が知的好奇心です。
もちろん,人を起業に向かわせる心理要因は知的好奇心だけではありません。個人がもつ価値観や自己効力感や楽観性など,いろいろな要因を考えることができます。知的好奇心は,そのうちのひとつにすぎません。
でも,実際に関連があるかどうかは,調べてみないと分かりません。実際に起業や自営業の経験がある人とない人とを比べて,比較するとどうなるのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Curious enough to start up? How epistemic curiosity and entrepreneurial alertness influence entrepreneurship orientation and intention)。
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