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ダークな性格と汚職の関連
公的な立場に立つ人が,その立場を利用して個人的な利益を得ることで他の人に便宜を図ることが不法に行われることを汚職といいます。
映画『グリーンブック』の中でも,黒人ピアニストのドン・シャーリーが警察に捕まったところで,主人公が「ギフト」だと言ってお金を出し,解放してもらう場面が出てきます。
もしもその警察が汚職を受け入れないまじめな警察官だったら,ドクは解放されなかったわけですから,その時代の警察はこういうことをするんだな〜と思うとともに,だから「よかったな」とも思えてしまうところが不思議なところです。
個人
汚職が生じるかどうかは,文化によっても変わります。ある文化では「賄賂」だとみなされることが,他の文化では「贈り物」(まさにグリーン・ブックでの扱い方と同じなわけですが)だとみなされることもあります。
いずれにしても,法や道徳や社会規範を軽視して,公的な資源や他者の資源を個人の利益のために意図的に利用する一種の逸脱行為が汚職です。この定義は,パーソナリティ特性の中でもダークなパーソナリティ群の定義によく似ています。ダーク・トライアドの高い人も,自分の利益を優先して他の人の状況を軽視し,ルールを無視する傾向もあります。
では,両者は関連するのでしょうか。
金銭不安
もうひとつの要素は,金銭に対して不安を抱くことです。金銭不安は,経済的資源の不足に由来して,将来をネガティブに捉えることを指します。もちろん低賃金の人々の間で,この不安はよく見られるのですが,パーソナリティ特性も関連することが報告されています。そして,金銭に不安があると自分の利益を最大化しようと汚職に手を染める……ということもありそうです。
では,ダークなパーソナリティと金銭不安は汚職をする傾向につながるのでしょうか。この関連を検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Does the dark triad predict intention to commit corrupt acts? The mediating role of financial anxiety among Saudi students)。
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