政治家の性格を判断する
選挙で候補者に投票をする行動には,さまざまな要素が関連していそうです。
人々が政治家の性格をどのように捉えるか,という観点も,政治家にとっても大きな問題です。人びとに「この人はよい性格の人だ」と考えてもらうことができれば,そのような考えは投票行動にも結びつくかもしれないからです。
それは一種のイメージ戦略に結びつくような問題かもしれません。
トランプの性格
政治家の性格が海外で話題になったのは,トランプ大統領の誕生がきっかけだったようです。この記事でも,彼が自己愛性パーソナリティ障害の診断基準に近い特徴をもっていると書かれていますよね。
ただ,「障害」と言うためには実際に何らかの生活上・現実上の問題が生じていて,長期間にわたる苦痛が経験されていないといけません。トランプ大統領がそうだとはあまり思えません……ただし周囲の人たちは大変そうですが。
政治家のパーソナリティを考える
では,人びとが政治家の性格を考えることは,自分が支持する政党と何らかの関連があるのでしょうか。この論文を見てみましょう(Voters rating politicians' personality: Evaluative biases and assumed similarity on honesty-humility and openness to experience)
この研究はオランダで行われたものです。7つの政党のリーダー自身が自分のパーソナリティを評定し,その政治家たちを203名の人びとが評価しました。
HEXACOモデル
評価に使われたのは,HEXACOモデルです。このモデルでは,ビッグ・ファイブ・パーソナリティにH因子が加わった6つの次元でパーソナリティ全体を記述します。
・H: Honesty-Humility(正直さ—謙虚さ)
・E: Emotional Stability(情緒安定性)…神経症傾向の逆でBig Fiveとおおよそ同じですが,内容の一部がH因子に入るため完全に同一ではないようです。
・X: eXtraversion(外向性)…Big Fiveの外向性とほぼ同じ
・A: Agreeableness(協調性・調和性)…Big Fiveの協調性と大体同じですが,部分的にH因子に内容が吸収されているため全く同じではありません。
・C: Conscientiousness(勤勉性・誠実性)…Big Fiveの勤勉性とほぼ同じ
・O: Openness to Experience(開放性)…Big Fiveの開放性とほぼ同じ
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日々是好日・心理学ノート
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