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親子の関係は恋愛関係に反映するのか

ふだん生活していても何となく直観的に,「親子関係のパターンが,その後の人間関係の中でも現れてくるのではないか」と想像することはないでしょうか。もちろん,子どもたちは思春期や青年期になると,それまでとは違って親の影響から離れて,独自の仲間関係や友人関係,恋愛関係を形成していきます。

親から離れていくにもかかわらず,やっぱりそこには少なからず,親子関係の影響は残っているものなのでしょうか。

スキーマ

親子関係の相互作用のパターンが取り込まれることを,内的作業モデルとかスキーマと呼ばれることがあります。スキーマというのは,社会的な手がかりを理解して,他者の行動に関する期待を形成することで,社会的な行動を導き,結果的に他の関係にもそのパターンが適用されていくものだと考えられています。

親子関係で学んだ人間関係のパターンが学習され,他の仲間関係や恋愛関係でもそのパターンが適用されていく,波及していくという考え方です。たとえば,親子関係の愛着スタイルがパターンとして取り込まれ(内的作業モデルと呼ばれます),重要な人間関係においてもそのパターンが出てくるというのもひとつの例です。

実際には

では実際に,親子関係の何らかのパターンが,仲間関係や恋愛関係でも見られるという現象は観察されるのでしょうか。追跡調査を行う縦断的な研究を集めて,メタ分析によって検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(The future is present in the past: A meta-analysis on the longitudinal associations of parent–adolescent relationships with peer and romantic relationships)。

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