就寝時刻の先延ばしがもたらす悪影響
現代の社会で生活する私たちにとって,睡眠不足はあまりにも当たり前のことです。しかし,睡眠時間が足りないことは,心身の健康,生活の質,活動の生産性などなど,多くの問題をもたらす要素になります。
特に若い世代にとっては,睡眠時間を十分に確保できないことは発達的にも問題になりそうです。
就寝時刻の先延ばし
先延ばしというのは,しなければいけないことになかなか取り組むことができない傾向のことを指します。そして就寝時刻の先延ばしという現象も,研究されています。
就寝時刻の先延ばしは,特に理由もないにもかかわらず,就寝時刻を予定よりも遅くすることを指します。いや,私たちの日常生活そのものです。
要因
就寝時刻の先延ばしは,自己制御や自己コントロールの問題だとされてきました。自分の生活を十分にコントロールできないという,自分を律する行動です。しかし,その背後にはどのような要因があるのか,まだ十分には検討されていません。
また,就寝時間に影響する要因として,クロノタイプもあります。クロノタイプは夜型か朝型かという表現で説明される個々人の傾向のことです。クロノタイプも,就寝時刻に影響するのは間違いなさそうです。
実際に測定
睡眠の研究は,睡眠状態を自己報告で測定するものが非常に多い印象です。しかし近年では,実際に毎晩毎朝,就寝時間と起床時間を測定するツールも販売されています。スマートウォッチがあれば,実際に測定が可能になりますね。
実際に学校に通う思春期・青年期の若者たちにスマートウォッチを装着させて,就寝時間と起床時間を測定しつつ,自己報告された就寝時刻の先延ばし傾向が実際に就寝時間の遅れを予測するのかを検討した研究があります。こういった基礎的な研究が,自己報告とはいってもその妥当性を高めると言っていいでしょう。
では,こちらの論文を見ていきましょう(Bedtime procrastination and chronotype differentially predict adolescent sleep on school nights and non-school nights)。
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