見出し画像

共同性と作動性についての世界中の特徴

割引あり

人々の特徴をシンプルに表現するには,どのような判断の軸を設けるのがよいのでしょうか。さまざまな研究があるのですが,簡単に2つの「軸」「次元」「数直線」を設定するだけで,うまくいくのかもしれません。


利他的自己と自己的自己

私たち人間を表現する言葉はきわめて多数存在していますが,それらは互いに関連しています。ある単語とある単語は関連が強く,ある単語とまた別の単語はあまり関連が強いとは言えず,さらにある単語とまた別の単語は逆方向の関連を示します。このような関連の情報を集約していくと,単語がまとまって「因子」が構成されます。ビッグ・ファイブ・パーソナリティも,このような単語のまとまりのなかで見出された枠組みです。

また,古くから見出されてきた2つの因子があります。自分自身を,自己主張的で,エネルギッシュで,独創的だとみる視点と,親切で協力的で寛容だとみる視点です。前者はエージェンシー(作動性)と呼ばれ,後者はコミュニオン(共同性)と呼ばれます。

共同性と作動性というふたつの軸は,さまざまな研究分野でみられるふたつの軸に対応しています。

◎社会的認知:対人認知の能力の側面と温かさの側面
◎パーソナリティ:安定性と可塑性(ビッグ・ファイブ・パーソナリティの上位次元)
◎臨床心理学:優位性と受容性
◎ジェンダー心理学:男らしさと女らしさ

社会経済的地位

作動性(エージェンシー)は,高い社会経済的地位に関連するという結果がよく報告されるようです。高い社会経済的地位は,多くの資源をもたらしますので,作動性が高まるという考え方があります。また,作動性に含まれる支配性や自己主張的な人間関係が,社会経済的地位を押し上げる効果をもつと考える研究者もいるようです。さらに,高い社会経済的地位は社会的な影響の強さから,自己効力感の高さにつながり,作動性的な自己認識につながるという考え方もあるようです。

133ヵ国にもおよぶデータから,各国の所得格差,国家の富,失業率,宗教性,出生率など,国家の特徴を表す指標が,共同性と作動性の差に関連するのかを検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Socioeconomic Status Differences in Agentic and Communal Self-Concepts: Insights From 6 Million People Across 133 Nations)。

ここから先は

1,561字

期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?