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年齢とオンラインの攻撃行動との関連

割引あり

オンライン上で攻撃的な振る舞いをする人は,後を絶ちません。しかし,実際に攻撃的な振る舞いをする人というのは,どれくらいの年代の人が多いのでしょうか。

『ネット炎上参加者「実は高年収」という仰天実態』という記事が出たこともありまして,男性で高収入,地位も高い人々がネット炎上に参加しやすいと指摘されています。


攻撃者

オンラインの攻撃に関する研究の多くは,大学生を対象とした調査で研究されています。中年期や高齢者に対する研究というのは少なく,実態がよく分からない部分もあるようです。

いじめの研究では,いじめに対する態度やいじめの加害行為について,成人期の年齢差が報告されているようです。オンラインの加害行為や攻撃行為についても,年齢による違いが見られてもおかしくありません。

若年層?

チェコ共和国で行われた,1000人以上を対象にした調査では,10代前半の若者たちにおいて,オンライン上の攻撃者となる可能性が高いという結果が報告されています。年齢層が高くなるほど,加害者となる確率は低くなっていきました。一方で被害者になるのは10代から20代前半が多いという結果にもなっています。そして,50代以上になるとふたたび少しだけ被害者となる可能性が高くなるようです。

年齢の影響が直線的であるかどうかという問題もあります。若い世代がネットで攻撃しやすいとして,その後に低下する様子は直線的ではなく,曲線的に一気に低下してから,低下がなだらかになっていくかもしれません。オンラインで費やす時間も年齢によって変わっていきそうです。

加害と被害

オンライン攻撃の加害者となることと被害者となることとの間には,互いにプラスの関連があることも,これまでの研究で示されているそうです。オンラインに滞在する時間の長さが両者を結びつけている,という可能性はあります。

また,加害と被害の関連も,年齢によって変わってくるかもしれません。しかしそもそも,中年期以上の年齢でこの両者の関連を検討した研究というのは,ほとんどないようです。

道徳的離脱

道徳的ではない行動や有害な行動を正当化するために個人が用いる,さまざまな認知的な戦略のことを,道徳的離脱といいます。逸脱行動を正当化する戦略には,次のようなものがあります。

◎道徳的な正当化や行為自体の再解釈によって,その行為が不道徳とは見られないようにする
◎責任を分散したり,有害行為の際の自分の役割を最小限にする
◎結果を歪曲したり,有害な行動の結果を最小限に解釈する
◎有害な行動の対象である人の価値を下げ,対象を非難する

オンラインの道徳的逸脱は,オンライン上で行われる道徳的離脱のことを指します。若者の間でオンラインの道徳的逸脱が高い人は,フェイクニュースの拡散をしがちな傾向もあるようです。

道徳的離脱とオンラインの攻撃について幅広い年齢範囲でな調査を行い,年齢も加味して分析した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(An Examination of (Proximal Determinants of) Online Aggression Perpetration Among Adults Aged 19 to 79)。

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