
起業した人の性格の特徴
会社を起業してから,どれくらいの生存率があるのでしょうか。
◎企業1年後の生存率:95.3%
◎3~5年後の生存率:88.1~81.7%
その後,年間でおおよそ3%から4%の廃業率で推移していくそうです。とはいえ,この中には様々な業種が含まれていると思いますので,「起業」としてイメージするいわゆる「会社を作る」というものだけではない可能性があります。
性格
ビッグ・ファイブ・パーソナリティの開放性,勤勉性,外向性,協調性,神経症傾向のそれぞれのパーソナリティ特性は,起業家の行動にとって重要な働きをすると考えられているそうです。
勤勉性は,組織力や信頼性,目標志向性を特徴とし,外向性は積極性や行動力に関連することから,組織構成やネットワークの形成を促進すると考えられます。神経症傾向はストレスにうまく対処することが困難になる傾向を示し,開放性が低くなると柔軟な思考や適応的な応用性が欠如する傾向が見られます。特に,低い開放性は,複雑な事業環境を乗り切るために不可欠な適応力や革新性を制限する可能性があると考えられているようです。
◎開放性:革新性や知的好奇心を特徴とすることから,ビジネスチャンスを見出すことにつながる
◎勤勉性:決断力や秩序を求めることから,事業の立ち上げ,起業家としての責任を果たそうとする態度に関連する
◎外向性:社交性や活動性,行動力に関連することから,事業の成功に関連する
◎協調性:対人関係の調和や優しさに関連することから,ビジネスの成功は状況によって異なると考えられる
◎神経症傾向:ネガティブな感情への反応性を意味することから,起業家精神とは逆方向に関連すると考えられる
起業
一口に「起業」といっても,その規模もシステムも様々です。伝統工芸の工房や小売業,ソフトウェア開発や新しい業態のシステム開発など,幅広い活動が含まれます。業態によってリスクの程度も様々ですし,継続の容易さもそれぞれです。
ビッグ・ファイブ・パーソナリティは,事業開始後のリスクをとる傾向や,意思決定に関連するのでしょうか。また,革新していこうとする意欲や研究開発にも関連していくのでしょうか。そして,さまざまな業態における起業の様子に,パーソナリティ特性はどのようにかかわっていくのでしょうか。
実際に行われた調査の内容を確認していきたいと思います。こちらの論文を見てみましょう(The relationship between entrepreneurial personality patterns linked to risk, innovation and gender across industrial sectors)。
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