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高齢期の孤独と性格

割引あり

年齢を重ねて中年期や高齢期になった時,社会的に孤立したり孤独感を抱いたりすることは大きな問題のひとつになります。高齢期になると,人々はさらに孤独に陥りやすいともいわれています。ひとつは加齢に伴って,友人やパートナーの死,喪失にも直面するからです。また,健康状態の悪化や仕事からの退職なども,孤独感の大きなリスクとなっていきます。


孤独のリスク

高齢者において孤独の状態に陥っている人の割合は,約4割から約7割と推測されていますので,非常に高い割合です。この割合のバラツキの原因は,孤独であることの定義が明確になっていないこともひとつの要因です。

高齢期の孤独感は,抑うつ状態やうつ病と強く関連しており,これらは幸福感やウェルビーイングの低下にも関連しています。また,孤独感の高さもよくうつ状態も,早期の死亡のリスク因子にもなります。

性格との関連

高齢期の孤独感に関連する要因として,次のようなものが見つかっています。

◎男性よりも女性
◎結婚していない状態
◎年齢の高さ
◎所得の低さ
◎学歴の低さ
◎ひとりで住んでいること
◎社会的関係の質の悪さ
◎健康状態の悪さ
◎ネガティブなライフイベント

などなど,多くの要因が挙げられています。

孤独感と性格(パーソナリティ)との関連も検討されていますが,高齢期の孤独を予測するかどうかについては十分に検討されていないようです。そこで,パーソナリティ特性を測定してから数年後の孤独感を予測するデータを分析した論文を見てみましょう。こちらの論文です(Personality traits and the risk of becoming lonely in old age: A 5-year follow-up study)。

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