ダークなパーソナリティが反社会的行動を予測する
犯罪とまではいかないまでも,社会的に逸脱した容認できない行動であり,犯罪のリスク要因と見なされ,社会的に大きなコストを強いる可能性のある行動のことを,反社会的行動といいます。
分化的接触論
分化的接触論(Differential Association Theory)は,アメリカの社会学者エドウィン・サザーランドが提唱した,犯罪行動に関する理論です。犯罪行動が遺伝的な要因や個人の性格に起因するのではなく,社会的相互作用の中で学習されるという視点に立ちます。
イングランドの刑務所に収監されている人々のおよそ3分の1が,親族も刑務所に収監されていると言われています。また,犯罪歴がある父親と息子の間にも関連が認められます。父親が犯罪歴がある場合には,息子の犯罪歴も高まる傾向が見られるそうです。反社会的な仲間や態度が,成人期の犯罪行動のもっとも強い予測因になるというメタ分析の結果も報告されています。
性格
犯罪を犯す可能性のある行動や態度に,性格は関連するのでしょうか。犯罪に関連する態度や反社会的な行動傾向には,昔からサイコパシーが関連するという研究があります。また,ビッグ・ファイブ・パーソナリティについても,犯罪傾向や犯罪者とより接触する傾向,法令違反の容認度との関連などが検討されてきています。
マキャベリアニズム,サイコパシー,ナルシシズムという3つのパーソナリティのまとまりであるダーク・トライアドは,攻撃性,衝動性,自己顕示性,冷淡な感情反応,反社会性などを特徴とします。
しかし調査の中で,ダーク・トライアドすべてが反社会的な行動に関連するかというと,必ずしもそうではありません。反社会的行動の内容にもよりますし,反社会的行動といってもそのどのステップに関連するかはさまざまです。
関連
実際に,ダーク・トライアドと反社会的な行動傾向や分化的接触論に沿った特徴との関連を検討した研究が行われています。こちらの論文を見てみましょう(Differential association theory, the Dark Triad of personality and the prediction of antisocial behaviour)。
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