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ナイジェリアのフェイクニュース

割引あり

世界中で,インターネットの利用はまだまだ増加しています。もはや世界中にインターネットは普及しているとも言えるかもしれませんが,特にアフリカ地域ではまだこれからという部分もありそうです。


ナイジェリア

今回紹介する研究は,アフリカのナイジェリアで行われたものです。

ナイジェリアでは,インターネットの利用がまだまだ増加中です。人口は2億人以上ですが,約半数の1億人超のナイジェリア人がインターネットにアクセスしており,インターネット普及率は半分を超えるくらいとされているそうです。

2022年段階で,ナイジェリアのソーシャルメディアユーザーは3290万人で,総人口の約15%とされています。ソーシャルネットワークサービスやソーシャルメッセージングサービスは便利なものですが,誤った情報の拡散にもつながります。ナイジェリアの高学歴人口の9割以上は,ソーシャルメディア上の誤った情報にさらされる危険性があるとも指摘されています。

フェイクニュース

ナイジェリアでも,フェイクニュースの拡散が問題になっているようです。ナイジェリアの政府機関が2018年から2019年にかけてまとめたツイッターの調査によると,ツイートの19.5%が美夫活動の影響を受けており,誤った情報の拡散を進め,不安を煽ることにつながっているとしています。

ナイジェリアのソーシャルメディア上で誤情報や偽情報を発信する主体は,政治的主体,市民,民俗宗教団体,主流メディア組織,インフルエンサー,ブロガー,自動化されたボットに整理されます。主に議論を混乱させ,代替となる話題を提供することが目的となります。ナイジェリア内の地域差,政治的な違い,民族的・宗教的な差異への再注目を促し,人々を分断する方向へと進ませる危険性があります。

動機

フェイクニュースを拡散する動機には,どのようなものが考えられるのでしょうか。たとえばアフリカでの研究では,次のような動機が整理されています。

◎社会的通貨:情報に疎い人物だと見られないようにする,知っているということを他者に知らせることが社会的通貨として価値を生み出す
◎市民の義務:他者に情報を伝えて助けようとして,結果的に誤解を招く情報を共有してしまう
◎情報の民主化への衝動:人々は情報編歩アクセスが不平等だと感じているので,情報の共有は情報を民主化する方法だと信じられている

他にもさまざまな動機が考えられますが,年齢を考慮することも重要です。若い人々がフェイクニュースを拡散しがちという報告もあれば,65歳以上の高齢者たちが若い層に比べて数倍の勢いでフェイクニュースを拡散するという報告もあるようです。

なぜナイジェリアの人々は誤情報を共有しようとするのでしょうか。また,五條方に接したときはどのように反応するのでしょうか。インタビュー調査を試みた研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Fake news in Nigeria: global phenomenon, local realities)。

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