『「性格が悪い」とはどういうことか』(ちくま新書)
2024年7月に筑摩書房より『「性格が悪い」とはどういうことか―ダークサイドの心理学』が出版されますので,今回はこの本の紹介をさせていただこうと思います(2024年7月10日刊行)。
ダークな性格
この本は,21世紀に入ってから研究が盛り上がってきた,社会的に悪影響を及ぼす可能性が高そうな,一連のパーソナリティ特性群について解説するものです。研究の中で盛り上がりを見せているのは,次のようなパーソナリティ特性です。
◎マキャベリアニズム:自分の利益のために他者を利用するが当たり前
◎ナルシシズム(自己愛):自分は特別,特別扱いされて当然,素晴らしさをわかってくれるはず
◎サイコパシー:罪悪感や悲しみが何なのかよく分からない,その行為のどこが悪いのかもよく分からない
◎サディズム:苦しそうな姿を見るとちょっとわくわくしてしまう
◎スパイト:自分が不利益になる可能性があるにもかかわらず他者に損害を与えようとする
他にも細かく見ていくとさらにいろいろなものがあります。これらのパーソナリティ特性群は研究の歴史は古いのですが,特に21世紀に入ってから,盛んに研究が行われるようになってきました。
研究テーマ
これらダークなパーソナリティの研究が行われてきた背景には,望ましい(望ましくない)心理特性に注目して研究するようになった心理学の研究の大きな流れがあります。またこれらが対人関係であれこれと問題をもたらす可能性があるとされることもあります。ダークなパーソナリティとの組み合わせでよく研究されている対人関係場面は,「職場」「仕事」「リーダー」「恋愛」「ネット上の行動」などがあります。
この本では,全てというわけにはいかないのですが,いろいろな研究の紹介をしながら,これらのパーソナリティについて考えていきます。
ひとつ不満があるとすれば……大部分が海外の研究だ,というところでしょうか。国内の研究については,今後に期待したいところです。
目次
本書の目次を紹介します。ちなみに,細かい節立てや節タイトルは,編集の方が調整してくれています(本当にお世話になります)。
小ネタ集
誰にも言ってはいないのですが,今回の本の裏テーマは「小ネタ集のような本にすること」でした。単にダークなパーソナリティの紹介だけをするのではなくて,その周辺のことも盛り込みながら,少しでも「へえ」と思ってもらえるような内容にしようと脱線しながら書くイメージです。
「小ネタ集」的な内容の構成というのは,海外の書籍にはよくあるパターンです。パーソナリティの研究の内容を見聞きする際に,背景的な知識として知っておいてもらいたいなという部分や,誤解されやすいと思う部分だけでなく,自分が見聞きしたことも盛り込んだつもりです。
ダークな性格
さて,私がこれまでに書いてきた文章を読んだことがある方であれば,今回の本も「ダークな性格の持ち主は危険だから気をつけろ!」といった内容ではないことは予想できるのではないかと思います。それはだいたい予想どおりです。
多くの方に手に取ってもらえれば嬉しく思います。
それにしても最近は本が売れませんからね……印税で自動車を数台買うことができるような,夢のある話でもあるといいなと期待したいところです。
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