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高齢者の自己効力感は介入で伸ばせるのか

割引あり

自己効力感(self-efficacy)というのは,行動することによって結果を達成することができるという個人の信念です。ある課題を行う際に,「やればできるだろう」と予想することを指します。

自己効力感は,4つの要素の影響を受けると言われています。これらの要素によって自己効力感が高まると,内発的な動機づけを高めて能力の向上にもつながるとされています。

◎実績の達成や技術の習得
◎代理体験
◎言葉による説得
◎感情的な覚醒



一般的自己効力感

自己効力感というのはそもそも領域特異的で,ある課題に対して「やればできるだろう」と思ったとしても,別のまったく違う課題に対したときにはそう思わないことも考えられます。しかし1980年代から,一般的自己効力感(Generalized Self-Efficacy)という概念が提唱されるようになります。

一般的自己効力感は,特性的自己効力感とか,人格特性的自己効力感と呼ばれることもあります。言葉の通り,領域が特定的ではなく,あらゆる課題に対してなんとなく「やればできるのではないか」と感じる傾向を表します。パーソナリティ特性のような概念です。

一般的自己効力感の高さは,自尊感情,希望,内的統制の所在,楽観主義などとも関連が深く,これらの概念との違いがどのような点であるのかという点で批判もあるようです。

高齢者の自己効力感

高齢者にとって自己効力感を抱き続けることは重要かもしれません。身体的にも認知的にも問題が生じてきますので,「やればできる」という感覚が危機的な状況に陥ることもありそうです。

65歳以上の高齢者を対象として,心理的・社会的介入を検討した研究をレビューしてまとめた研究があります。どのような介入デザインが,高齢期の一般的自己効力感を改善するのに役立つのでしょうか。

では,こちらの論文を見てみましょう(Psychosocial modification of general self-efficacy in older adults: A restricted review)。

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