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サイコパスはうまく被害者を見つけることができる?

割引あり

サイコパシー傾向が強い人は,自分がうまく利用できそうな,被害者となりそうな人物を探す嗅覚に長けているのではないか,という説があります。本当なのでしょうか。


被害への脆弱性

言い方は良くないのですが,平たく言うと,「カモになりそうな人をうまく探し出すスキル」といったところでしょうか。動作や歩行の姿を見るだけで,被害に脆弱かどうか(被害者になりやすい傾向をもつかどうか)を判定できる可能性があるとか。

たとえば古い研究ですが,加害行為で服役している受刑者に,歩いている人々の動画を見せるものがあります。加害行為を行った人々は,容易に標的になりそうな人と,なりそうにない人々を識別したそうです。そしてこの2グループには歩き方の違いがあり,歩幅,体重移動(上下か横か),移動(横方向か前後か),足の置き方などで異なっていることも報告されています。

また別の先行研究では,ビデオを用いて実際のいじめと同等以上の犯罪被害者と非被害者がカメラに背を向けて歩いている様子が録画されています。観察者はサイコパシー尺度に回答し,ビデオ映像が被害者かどうかを判定する傾向との関連が検討されました。結果から,サイコパシー得点が高いほど被害者をうまく区別できることが示されています。

サイコパシー

サイコパシー特性が高い人は,次のような特徴があります。

◎操作的な対人関係
◎反省や倫理的な感情の欠如
◎衝動的な行動傾向
◎多様な犯罪行動につながる反社会性

サイコパシーは,マキャベリアニズムやナルシシズム,サディズムなど他のパーソナリティ特性にも密接に関連します。では,これらのパーソナリティは被害者を見つけるのに敏感な傾向に関連するのでしょうか。


被害者認知

では,マキャベリアニズム,ナルシシズム,サイコパシー,サディズムの4つ,ダーク・テトラドを用いて,被害者認知との関連を検討した研究を見ていきましょう。こちらの論文を見てみましょう(“Evil” intentions: Examining the relationship between the Dark Tetrad and victim selection based on nonverbal gait cues)。

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