ギリシャの学生の学業不正パターン
中国では古くから科挙制度があり,官僚を実力主義で登用する仕組みが続いてきました。そして,人を選抜する試験を行えば必ずと言っていいほど生じるのが,カンニングなどの不正行為です。
科挙でもカンニングが行われていたことが記録に残っています。
学業不正
学業や試験での不正行為や,課題の先延ばしといった問題は,古くから起きていることです。これらは相互にも関連していて,先延ばししてしまう学生は時間の制約がきつくなって,不正行為にも手を染めやすくなると考えられています。
学業不正はacademic dishonestyと呼ばれて,世界じゅうの大学のキャンパスでよく見られる現象です。試験でのカンニング,他の人のレポートを自分のものとして提出すること,データの改ざん,研究不正の問題など,非常にさまざまなものがここに含まれます。これらは,学生の倫理観の育成,教員のモラル,学術機関の評価に対しても悪影響を及ぼす可能性があります。
パーソナリティとの関連
学業不正はパーソナリティ特性との関連もよく研究されています。特に,ビッグ・ファイブ・パーソナリティも,これまでに何度も検討されている枠組みのひとつです。
たとえば勤勉性は,規律をもって生活する傾向があり,目標に向かって努力し,高い成果を挙げる傾向があります。このような傾向の持ち主は,あまり剽窃や不正に手を染めないと考えられます。ところが,神経症傾向も勤勉性も高い場合はどうでしょうか。しっかり良い成績をとろうとする一方で「しなければいけない」「取ることができるのだろうか」と完全主義的になってしまうかもしれません。すると,つい不正の誘惑が頭をもたげてしまいそうです。
つまり,ビッグ・ファイブ・パーソナリティの各次元単独ではなく,組み合わせに意味があるのかもしれません。
そこで,ギリシャの大学生を対象としてビッグ・ファイブ・パーソナリティと学業上の不正との関連を検討した論文から,結果を見ていきましょう。こちらの論文です(Personality profile differences in academic dishonesty and procrastination among Greek university students: A five factor facet-level latent profile analysis)。
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