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「それで食っていけるのか」というよくある意見について考えてみる

今回の新型コロナウィルス感染症が広まるなかで,芸術や演劇,音楽活動を仕事にしている人たちは大きな影響を受けているようです。

自粛を行った個人に対して,最大20万円の支援金が支払われるということもニュースになっていました。

こういうニュースを見ると,「やはり普通の会社員になるのが安全」「公務員がいちばん」,さらには「安定した仕事に就かないのは自己責任」のような意見が出てきがちかもしれないなと思います。検索するともうすでに,そういう意見があるかもしれません。

夢の諦め

子どもたちはいろいろなことに興味を抱いて,いろいろなところに得意・不得意があるものです。大人はそれを微笑ましく見ているものなのですが,年齢に伴って,次第にその同じ行動をいぶかしく見るようになっていきます。

小学生のころは「漫画家になる!」と言って絵を描いていても微笑ましいのに,高校生くらいになってくると「大丈夫?」と言いたくなってきてしまう,そんな雰囲気が漂ってきます。

部活動も

学校の部活動にも同じような雰囲気があるように感じます。

どこの学校の部活動も,「勝つこと」が目的になりがちです。そのために練習し,そのために朝から学校に行き,夕方遅くまで練習に励み,顧問の先生たちは余分な仕事が増えて疲労していきます。そこには,「勝たなければ意味がない」とか,「勝たなければ楽しくない」といったような勝利至上主義があるように思います。そして無理をして身体を壊す,そんなようすも垣間見えます。

でも結果的に,勝てなかった子どもたちはもうその競技を楽しむこともなく,やめてしまうのです。本当は,そのまま一生涯,その競技を楽しんで,人生の友とすることができるかもしれないのにです。

役に立つ?

何かの能力や性格,技能,研究について話をすると,すぐに「それは役に立つのですか?」という話になりがちです。「○○大学出身でも社会では役に立たない」のような言い方とか,「大学院を出ても社会では役に立たない」とか,「○○を学んでも社会では役に立たない」とか……。

その背景には,どうもここまでに書いてきたような,私たちの社会全体に関わることがあるように思えてくるのですよね。

大人たちにとって「望ましい」とされる職業を子どもたちが目指すことが正解であり(社会構造が変わってしまうかもしれないのに),部活動でも勝ってプロになることを目指すのが望ましいとされたり(本当はそこまで上手くなくても一生涯楽しんでスポーツができることが人生にとっては良いことかもしれないのに),身につけることは「将来何になるのか」を考えて選ぶべきだとされたり(社会が変化してそれが正解のままつづくという保証はないのに)。

それはそれでよいのですが,人生を考えたら本当にいいのかな……と,ちょっと考えさせられます。

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