PCR検査は彼女とドライブしている時に思いついた
このところ毎日耳にする「PCR検査」です。この生みの親であるキャリー・マリス博士はこのポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) 法でノーベル賞を受賞しています。
そしてマリス博士は,2019年8月に74歳で亡くなっています。その翌年になって,こんなにニュースでこの手法名が流されるとは思ってもいなかったでしょうね。
ところでこのマリス博士,なかなか面白い人生を歩んでいたようで……。PCR法を思いついたのも,彼女とのドライブの途中のことだったそうです。そのまま別荘に着いたのですが,電話もないところに滞在しながら,ずっとこの思いついた新しい方法のことを考えたりメモを取っていたのだとか。
ちなみにホンダ車が好きで,PCR検査を思いついた日に乗っていた車種もシビックだったらしいですよ。
そういった様子は,『マリス博士の奇想天外な人生』 (ハヤカワ文庫)に詳しく書かれています。
ノーベル賞を受賞する前の1993年,日本国際賞も受賞していて,日本に来て天皇皇后両陛下(当時)と会話を交わした様子も本の中に書かれています。軽妙なトークを絶妙に交わしていく皇后陛下(現上皇后)の様子がとても素敵に思えました。
ノーベル賞を受賞した日もサーフィンに出かけていくとか,LSDやマリファナの話とか,科学という活動の話に占星術など,ちょっとあちこちに内容が飛ぶ傾向はあるものの,この本はマリス博士の考え方がよくわかるエッセイ集になっています。
エイズとHIVウィルスとの関係について書かれた章もあって,また無理な主張をしているのかなと予想して読んでみたら,意外にもなかなか考えさせられる内容だったので驚きました(その真偽というよりも,その洞察の内容について,ですけれども)。あんな人生はとても真似できませんが,事実に向き合う態度については学ぶことも多そうです。
PCR検査の名前を毎日耳にする今,読んでみてはどうでしょう。
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