いつも危ない運転をしてしまう人はどんな性格?
授業をしていて必ずといっていいほど質問に出てくるもののひとつが,運転免許の講習や自動車教習で受ける「運転適性検査」です。「本当に運転を予測できるのですか?」という質問ですね。
どういうレベルで資料が存在するか,またどういったレベルで予測が成り立つかについてはよくわからないのですが,少なくとも研究がベースになってはいるはずです。
ただし,運転適性検査については1970年代に訴訟が起きたことがあります。
職業運転手だった新谷氏が起こした交通事故後「臨時適正検査」で「軽症ろ鈍及精神薄弱」の診断を受け 運転免許取り消し処分を受けた。氏はこの処分撤回を求め訴訟を起こした。その訴訟の中で「適性検査」や 「心理テスト」があるときは科学的なという言葉の下で恣意的に使われていることを含め学会として見解をまとめ提出。
ですから現在,免許を取る際や更新の際の適性検査はあくまでも「参考」の扱いになっているのではないでしょうか。
この問題は,どのようなテストであれ人間を対象とするときには注意や配慮が必要であることを思い起こさせます。この手の研究は,常にこういう問題と隣り合わせであることを忘れてはいけないと私は思っています。
測りすぎ
そして,「この指標だけで評価する」ということになると,必ずと言っていいほど裏をかく人が現れます。たとえば,本来は学力を上昇させて試験で良い点を取るべきところを,「このような問題の形式のときはこのように解く」と表面的な形式で対応しようとすることもそのひとつです。
運転適性検査で「合格しないと免許がもらえない」ということになったら,必ずその対策本が多数売られるようになり,「この質問が出たらこのように答える」ということを覚えて試験に臨む人が出てきます。
同じことは何度も何度も世の中に登場するのです。詳しくは,この本『測りすぎ』を読んでみると良いと思います。
運転行動と性格
とはいえそもそも,運転をする行動とパーソナリティとのあいだにはなにか関連はあるのでしょうか。
もちろん,そういう研究はあります。たとえばこの論文(Are you a “bad driver” all the time? Insights from a weekly diary study on personality and dangerous driving behavior)です。
この論文では,普段の運転行動を記録して,特にその運転行動の中でも危険な運転行動が,運転者のパーソナリティと関連するのかどうかを検討しています。これは,一種の「適性検査の証拠」にもなり得る研究ですよね。では,果たしてどれくらい関連があるものなのでしょうか。
調査の内容
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