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インターネットで荒らし行為をする人の性格

インターネットの本格的な普及は1990年代半ばからでしょうか。私が大学生の頃は,大学の大型計算機センター(当時の各大学にはそういう施設がありました)の端末でMOSAIC(モザイク)と呼ばれるwebブラウザを使ってネットサーフィンをしていた記憶があります。

荒らし行為

でも,いわゆるインターネットが普及する前から,日本ではパソコン通信というシステムの電子掲示板(BBS)が人気を集めていました。当時は家から電話料金を気にしながら,電話回線経由で繋いでいたのを覚えています。本当に,便利な世の中になったものです。

そして,そんな時代から,人が集まるところで荒らし行為をする人は一定数,いたようです。今ではすっかり中高年になっていると思うのですが……。

インターネット上の各種サービスになっても,荒らし行為は変わらず見かけることができます。インターネット上の各種サービスが普及しても一定数は何らかの問題を生じさせますので,総数は増えているように見えるかもしれません。

インターネット荒らしは,インターネット・トローリングと呼ばれることもあります。トローリングという言葉は,橋の下に隠れて罪のない通行人をおびき寄せ,罠にかけるという神話上の怪物,トロールに由来しているのだそうです。絵本『三びきのやぎのがらがらどん』ですね!

論争的なコメントを投稿したり,疑わしい情報をオンラインで共有したりして混乱を引き起こすこと,激しい感情を沸き起こす話題性のある社会的な問題に触れることもよくおこなわれます。インターネット・トローリングの目的は,ネット上に嵐を巻き起こすことだともいわれています。インターネット・トローリング(ネット荒らし)は,特定の人に向けられるわけではないという点で,ネットいじめとはちょっと違う行為を指します。

荒らす人の特徴

インターネット荒らしを扱った研究というのは,世界的にもよく行われています。パーソナリティ心理学の分野でも,敵対的な傾向をもたらすようなパーソナリティ傾向,低い自尊感情,ネガティブな気分の高まりなどにインターネット荒らし行為が関連することが報告されています。

今回紹介する研究では,ネット荒らしの背景にどのようなパーソナリティ特性が関連するのかが検討されています。特に,罰に対する感受性を表すBISという特性,報酬への感受性を表すBASという特性,そしてマキャベリアニズム,ナルシシズム,サイコパシーというダーク・トライアドです。BIS/BASは気質のような,より生物学的に規定された個人差特性だとも考えられています。

では,これらがネット荒らし行為とどのような関連を示したのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(What makes an Internet troll? On the relationships between temperament (BIS/BAS), Dark Triad, and Internet trolling)。

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